December 26, 2011

『七つのふしぎの終わるとき』応援中です!

タイトル
 七つのふしぎの終わるとき
 メーカー
 etude
 発売日  2011年12月22日
 原画  植田リョウ  シナリオ  竹田/青葉大
 評価
 80点(100点満点中)

綺麗な萌え絵、というカテゴライズをすれば恐らくかなりのトップランクに位置するであろう絵師、
植田リョウを看板絵師とする中堅メーカーetudeの新作は、学園モノに不思議と推理要素を掛け合わせた
ストーリー系の一本。基本的に、絵を筆頭として音楽、演出、システムなどは盤石以上のかなり高い
クオリティを備えているメーカーであるものの、そこに強い魅力のあるシナリオを当てはめることが
出来なかったのが前作「秋コン」だったわけですが。メーカーもそれは理解しているのか、今作では
発売前の情報でも設定や事前知識などの文字情報をアピールし、シナリオに注力しているのが先立って
強く伺える作品でした。ただ逆に、その情報量の多さ、引いては解りにくさが最近のライトな流行の作風から
逆行していて敬遠を読んでしまった側面も若干感じましたが。
とまれしかしそのコンセプトは興味深く、実際に出て来た体験版も1つめ、2つめ共にかなりの面白さ、
引き込む力を持っていたし、加えて予想外にもキャラ萌えの部分でも魅力が高く、これは強力な
ダークホースになるのでは?と12月タイトルの中でもかなり期待していた一本だったのですが。

結果としては、流石かなり色々設定を考えて作っているだけはあり、トリック的なモノやギミックは
見所としてあげられるものも結構あり、またキャラ萌えについてもetude作品の中ではかなり魅力的。
ストーリーとキャラ両方の軸から楽しめるので良作レベルの範疇には入るタイトルだとは思います。
ただ案の定残念ながら惜しい部分もあり。特にその煩雑な設定をしっかり活かし、矛盾なくストーリーを
構築するという部分においては少々ツメの甘いところが。また、テキストの部分で竹田氏の文章が
根本的に説明として読み取りにくい部分があるのも敷居となってしまっているところもあったりと
流石に「強力なダークホース」とまではならんかったかな、というところでしょうか。

あ、文章系以外の各種要素については期待通りで相変わらずのとてつもなく高い水準で構成されていて
殆ど文句をあげるところはありません。音楽、デザイン、絵、どれも単体で商品として成り立つ
レベルで大変素晴らしい出来となっています。


差し当たり、過度な期待でもたなければおいしいところは多く十分以上に楽しめる作品ではないかと。
加えて言えば、この方向性でのこのメーカーの今後の作品に期待を持ちたくなる一本でもありました。


以下長文感想。



■ボリューム及びルート構成について
ボリュームについては平均的なエロゲーの枠を出ることはありません。オールコンプリートでおおよそ
20時間前後くらいとなるでしょうか。共通ルートがあって、各ヒロインで4ルート。加えて、全員を
クリアした後で最初から始めることで物語の本当の真実が判るTrueルートへと入ることが可能になります。
基本に忠実、といったところでしょうかね。なまじっかキャラがかなり魅力的なだけに、サブヒロインの
ルートはちょっと欲しかったなぁ・・・という気分にはなりますが。前作ではこずえパッチなんてのも
ありましたしね。まぁあちらもHシーンのない程度の攻略しかできませんでしたが・・・。

■攻略について
これも難しいことはなく、狙っているヒロインに向いた選択肢だけ選んでいればOKです。
七穂が出てくるのが体験版1のラスト、すなわち他ヒロインより若干遅い分選択師数が少ないですが
それがとりたてて難易度に影響を及ぼしているなんてこともありません。前述の通り真ルートへの
分岐も難しくはなし。ちなみにちなみに、True以外の各ヒロインルートはどのルートも殆ど話の筋が
ガラっと変わるため、相互間でのネタバレも殆どありません。(強いて言えば、程度のものはありますが
演出的に気になるものでもないでしょう)。どのルートから回っていっても特に面白さは変わらないかと。

■ゲームの進行関係
劇中時間はこれだけキーワードとして全力で時計とか時間とかを推しているわりには比較的曖昧です。
また、過去だの未来だのにタイムリープしまくるようなゲームでもなければヒロインの過去に思いを馳せる
ようなゲームでもないので時間の前後も殆どなく、時系列の進みも非常に順当に前方進行になります。
設定や言い回しが複雑なゲームにしてはこの辺は非常に素直ですね。とりたてて不便はないかと。
区切り関係の演出については非常に多彩。元々秋コンの時から非常に目を引くセンスのいいアイキャッチを
作品に導入していましたが、更に数も質も進化しています。立ち絵のあるキャラ全員の固有キャッチに
汎用キャッチも数種類あり、全部動きがあるし、しかもどうやら前作とは違い動画を再生するのではなく
スクリプト制御している?っぽいですね。頑張りすぎです(笑)
また、基本的にキャッチ以外の章や話数構成のようなものはないため、これらキャッチの部分が
プレイとしてもゲームを区切る部分となるでしょう。挿入部分も自然なのでこれも不便はなし。

■進行関係システム
システムにかなり力の入っている作品にしてはこの部分だけは唯一乏しく。
基本的にはオートとスキップのみです。バックログからのバックジャンプも、選択肢やシーンスキップも
入ってはおりません。まぁそれもそのはずというか、つい二ヶ月前に発売したばかりの
ワルキューレロマンツェとシステムが同一なので予想できていたことではあるのですが。
とりあえずこの点についてはちょっと億劫な部分ですね。周回プレイ時は結構選択肢の選びなおしが
必要になるゲームですし、共通部分にも結構なボリュームがあるためやや手間です。
次のここの系列の作品ではそろそろこの辺どうにかしてほしい部分ですね。

■システム・コンフィグ関係
コンフィグで弄ることが出来るのは昨今の基本的項目としては必要十分の量を満たしています。まぁ、
これもワルロマとほぼ完全に同じですね。ワルロマと違ってワイドな作品なのであんまり見ることが
できないものではありますが、余白表示用のフレームデザインのチョイスも可能になってます。
また、異常なまでにウィンドウの拡大/縮小の描画がシームレスで美麗です。流石に拡大することで
ドットの粗が出るほうは致し方ないですが、縮小して表示が殆ど違和感を感じません。
画面サイズが狭いプレイヤーにもこれはかなり助かるポイントですね。
システム自体については若干重いですが、起動前に自分に合わせた設定ができたり、非アクティブ時に
自動的に描画が軽くなるなどの機能もあり、いろいろなケアがなされているので十分でしょう。

■デザイン関係
これについては最強ですね。これは他では超え難いレベルです。シンプルなベクターデザインタイプの
ものではなく、しっかりしたピクセルデザインですが、各種ボタン一つ一つの作り込みの
レベルも完成度も圧倒的に高いですし、ゲーム内との雰囲気の合致も抜群。あらゆるところの動きが
アニメーションで目を楽しませてくれるし、それでいてどの点についても可読性を損ねていません。
オンマウスにはマウスが乗った瞬間と乗ってる間中の二種変化なども入れていたりとかなり細かい部分まで
妥協がなく、はっきりいってエロゲー業界どころかコンシューマーゲーム業界でもここまで
ハイセンスな出来のデザインはそうそうないと言えるのではないでしょうか。脱帽レベルです。
余談ですが、ちょっと不思議な工夫としてテキストウインドウのキャラ顔が表示される部分には、誰も
喋っていない時は「現実の実時間を表示する懐中時計」が表示されています。時計がデザインされてる
事自体は兎も角、実時間の時計なんてずいぶん無駄なものを、なんて思っていましたが、軽くでは
あるものの劇中の内容にリンクしており、小粋なポイントでした。こういうデザインは非常にいいですね。

■演出
不思議な力のある時計を巡る物語、ではあるものの、あまり派手派手しいバトルやなんやをやるような
ゲームではないので、見た目からガンガンくるような動きもなく、演出としてはさほど多くはありません。
ただ必要な部分では遠慮なく天候的な効果や全面エフェクトのようなものも使われています。
キャラクターの動きについては基本は普通の立ち絵弄りに終始します。感情エフェクトのようなものも
ありません。ただ、絵的な動きという意味ではiPhoneちっくなスマートフォンの通話やカメラ画像など
変化のある状況説明に役立つカットインや、etudeのお家芸である日常の一コマを部分的に
トリミングしたかのような雰囲気のある背景全面カットインなど、ただやかましくするだけが
演出ではないとでも言うかのような工夫が色々入っており、不足感はまるでありません。
システムデザインと合わせて、この辺は業界トップと言ってしまっても最早良さそうです。

■音関係 - 音楽
曲数は全29曲。うち、ボーカル曲が主題歌、ヒロインエンディング×4、グランドエンドで6曲。
BGM数で言えば昨今からすると若干物足りないですが、ボーカル曲がこれだけあると文句を言うほうが
流石に罰当たりな気分になりますね。曲の質については、まず主題歌・グランドの両曲はガチンコの
I'veサウンドの、それもどちらもとりわけ出来のいい曲で非常に満足度が高く。また、今作はBGMでも
I'veが作曲担当しているだけあってどれもこれもかなりその名に恥じないクオリティのものとなってます。
各ヒロイン用の曲についてだけはちょっと賛否両論あるかもしれませんね。これらもいい曲ではあるの
ですが、こちらはかなり多様な作曲者・ボーカリストで歌われているため、曲質に若干ムラっ気や
違いがあり、統一感という意味で少し損ねています。ただまぁ、大きな問題ではないでしょう。
むしろ一番惜しむらくは、過去数作も同じようなボーカル曲数構成で、今までは共通の予約購入特典として
全ボーカル曲のフルが手に入ったのが、今回は店舗特典に分散してしまったことでしょうか・・・。
売る努力、といえば確かにわかるんですが。が!
せめてそのうちボーカルまとめたCDを後々からでも販売してくれるといいのだけれども。

■音関係 - 効果音
効果音はかなり豊富なほうじゃないでしょうか。「質感」を重視しているようなetudeらしく、非常に
多彩な環境音が入っており、演出の質をワンランク上げています。また、見た目での感情エフェクトが
ない分、感情系の効果音もちょこちょこ入っており、コミカルなシーンなどでの盛り上げにこれまた
一役かっている側面も。効果音自体の質も高く、これまた文句のつけようがないポイントでしょう。

■音関係 - 声優
声優さん関係は個人的にはベストマッチすぎるほどのベストマッチ。特にヒロイン系では深咲、ふみの
シンクロ具合がヤバいですね。前者は木村あやかさんの魅力を再発見できるような絶妙な配役でしたし、
後者は真中海さんの演技力を強く実感できるもので私的大絶賛。
他にも灘優姫役の伊川美乃里さんの迫力と圧力のある声も場の盛り上げにかなり買っていてよかったですし
声に関してはホント今年の作品のなかでもかなり好みのものでした。

■絵関係 - 全般
原画は植田リョウ氏。前作に引き続きお名前カタカナです。
ちなみに公式ホームページなどで如何なく存在感を発揮しているはんぺん氏はあくまでグラフィッカーで
劇中SD絵などは描いておりませんのでご注意を(笑)あの絵が劇中に出てきたらぶち壊しどころでは
ありませんからね・・・。というか、4コマを事前に何度も見てたせいでプレイ開始直後はヒロインたちが
「可愛いこと」に違和感があってもう・・・w
閑話休題、序文でも語りましたがまず非常に「美しい」萌え絵を描く方ですよね。技術的にもピカいちで
圧倒的な巧さと美麗さを誇る方ですが、デッサン技術に忠実すぎて逆にどことなくヒロインの「形」に
違和感を持ってしまうきらいがある方でもあり。ただこの傾向は特に前作の秋コンで強かったですが、
今回は大分緩和されています。それでもまだ立ち絵の角度などでちょいちょい感じはするのですが
個人的には可愛いからいっかなーとも。絵自体の完成度は文句のつけようがないほど素晴らしいです。
塗りの方の技術も相変わらず相当な高さなので、特にイベント絵においてかなり「一枚」の攻撃力が
凄まじく、スチルというものの価値を再認識させてくれる作品です。また、綺麗系の絵師さんは
どうしても感情表現の部分で遊びがないためとっつきにくい事がありますが、今作は前作よりも
ずっと表情の微妙な差異が多彩かつピンポイントになっており、キャラクターの感情表現がかなり
直感的に判るのも美点の一つでしょう。

■絵関係 - イベントCG
イベントCGは合計で81枚。内訳としてはヒロインズが各18枚、七穂のみ19枚に、その他イラスト。
これだけ見ると昨今のフルプライスの平均的か、やや少ない程度になりますが、この作品の場合はその他に
背景とはまた違ったカットインイラスト(ヒロインの絵とかそういうものではないものの)が存在し、
こちらが更に21枚余計にあるので、直裁的に絵のボリュームが少ない、と言うべきではないかな。
絵の質については前述の通りスーパーハイクオリティ。特に印象的なイベントシーンや
ヒロインのハッとするような一枚絵の魅力はポイントとして相当高いです。

■絵関係 - Hシーンについて
エロゲーとしてのH絵については相変わらず綺麗すぎて逆にエロスが足りないか。
それでも前作よりはかなりアップしていて技術に頼った輪郭の艶かしいエロさがある絵なども
あるんですが。どちらかというと最近ははったりとフィクションの効いたエロさの方が受けるだけに、
絵が悪いというよりかは流行との真逆を行った分だけ分が悪い、という感じでしょうか。
ちなみにシーン数はヒロイン×3回ずつ。CG枚数としては大体8~9枚ほどで、各ヒロインのCGの
5割に若干届かないほどですね。

■絵関係 - 立ち絵
立ち絵はまずヒロインズはポーズが各3種。衣装差分が制服・私服・コート姿が完備の、ヒロインによって
振袖、ドレス、バスタオルなどの差分があったりなかったり。こちらについては量として
十分すぎるほど十分でしょう。表情系も前述の通り多彩で、ヒロインによってはかなり崩した
コミカルな表情もあって日常シーンなどでよくよく魅力を発揮しています。
ただサブキャラについては衣装こそ完備系3種が大体みんな揃っているものの、立ちポーズが基本一種類。
何人かちょっと個性的な立ち方をしているので、せめて腕差分等でもうちょっとニュートラルな
ポーズが欲しかったなぁ、と思うところはありました。

■話関係 - キャラクター全般
ストーリーが登場人物に深く絡むものではなく、どちらかというと各種設定に依存しているきらいが
あるためか、キャラクターの性格付けにはそこまで根深いストーリーの楔がありません。
なのでこういうストーリーモノにしては後付けの舞台装置的な要素がなく、どのキャラクターも
思いのほか生き生きしているのがまずなかなかに魅力的です。過去に根差すような設定が乏しいとキャラが
ブレやすい弊害がありますが、そちらについても単純な性格付けがしっかりしているので
キャラとしてしっかり立っており、ストーリーを読み進める上での弊害にもならず。予想外にも
かなり理想的なキャラクター郡であったと言えるように思います。いつもの私的なカテゴライズで言うと
昨今のエロゲーやラノベ的、ではなく、このあたりは少し昔の、ストーリーと萌えを両立しようと
していたような時代のエロゲーっぽい感じがしますね。

■話関係 - 主人公
対して主人公についてはやや難と癖があり。まず、基本的な言動、行動についてはちょっと奇抜で、
結構オープンにエロくて、飄々としていて、頭も回るし行動力もあるし、喋り口調も面白いと、
スタンス的にはかなり主人公として理想的なのですが、彼だけは根底のキャラ設定に舞台装置的な
要素が埋め込まれているため、どうしても一番行動がブレがち。加えてその口調や行動様式の
奇抜な面白さやテンポの良さは一歩間違えれば不快さにつながりそうな危ういスレスレなところを
進んでいるので、人によっては少し苦手い思うかも、というところもちょっとあり。
までも、総括的には面白くて珍しい主人公ではあると思うのですが。

■話関係 - テキスト
シナリオライターは竹田氏、そして青葉大氏のお二人。
メインライターは竹田氏になるんですかね。テキストテンポは悪くはなく、文章自体は結構読みやすいし
ギャグや話の転がし方、設定の広げ方はなかなかに巧いのですが、やや「説明不足」が目につきがち。
推理的要素を孕むゲームなのに説明が足りないので、「え、今そこどうしてそうなった?」という
シーンがいくつかあります。何度か読むと「ああ、この表現がそういう意味を指してて、つまりだから
こういう結果になったのね」と認識できるのですが・・・
話として読ませるならもう少し読み手にひっかからせるきっかけのようなものを文中に配さないと
流れが滞ってどうにも苦しく感じてしまいます。また、刹那の感情表現などで箇条書きのような
独特な表現をするクセがあるのも個性としては面白いのですが、これも読みにくさの一つになってます。
後はちょーっと竹田氏と青葉大氏の差が明確すぎでしょうか。エリスルートのみ青葉大氏の
単独担当なのではないかと思いますが、文章のクセの差が強め。もうちょい刷り合わせが欲しかったです。

■話関係 - シナリオ
話せば長くなるほど設定がややこしいので、物凄く簡単に言えば、時間系能力者である過去の人物の
七穂が、とある理由で結果的に学園にバラ撒いてしまったスーパーアイテムの時計を、各登場人物が
それぞれの思惑に従って集めていきつつ、同グループであるヒロインと恋愛しながら真相に迫るお話。
時計の能力も、地盤の設定もかなり緻密に練られており、各種要素は面白みも新鮮味もしっかりあるし
いくつかのトリックや対決シーン、決着シーンは演出の良さも相俟ってなかなかに迫真。
特に各ルートのラストを飾る決着と結末の付け方は普通のエロゲーの方法論からはちょっとズレた
独特の終わらせ方をしているものが多いのがなかなかに興味深く感じました。
加えてキャラクターの魅力が高いためヒロインとのやりとり、とりわけ恋愛後よりもむしろ
友達以上恋人未満のあたりのつかず離れず感はなかなか得難いニヤニヤ力があり、どちらの側面でも
間違いなく魅力のあるものではありました。
しかしその一方で、どちらの面にも残念な部分もあり。ストーリーについては序文でも語ったとおり
色々設定や伏線を張った割には全てをバランスよく回収できていない、あるいはつじつまのバランス取りに
失敗している点がちらほらと。殆どは些事レベルのものですが、稀に深く考えなくてもおかしいものもあり
全体的には正直ツメが甘いといわざるを得ないか。もうちょいちょい読み直してフローチャートと
設定を見直すだけでも修正が利いただろうに、というのがあるのはストーリーモノとしてはちょい致命的か。
恋愛側面についてで言えば、日常描写や個別序盤の絶妙な距離感は面白い割に、どうにも
恋愛関係に発展する時が異様に性急かつ唐突。どうにも積み重ねとしての要点が足りないような印象があり
まるで水の温度が70度くらいで沸騰してしまったような不可思議さを覚えてしまいます。
もうちょい恋人になるにしての説得力が欲しかったですかね。



いじょう。
シナリオはホント難しいですねぇ。面白さの要素、下地となる設定や肝の部分は結構いいものを揃えて
いると思うんですが、それらを整理・描写する部分でまだまだあと一歩足りなかった、と
言ったところでしょうか。後は根本的になまじっかetudeは「そして明日の世界より―」で
スマッシュヒットな傑作を生み出してしまったがためのハードルの高さも感じますし、
看板絵師である植田氏がどうにも萌えとかよりもストーリーの面白さや雰囲気に相乗するベクトルを
持っている方ってのもここの作品の評価のハードルが高めな要因となっていると思います。
それ自体は決して悪いものではないはずなのですけれども。

しかし間違いなくこちらの方向へテコ入れしてきているのは正解だとは思います。結果的に
複合要素としてキャラの魅力もマシマシになってますし、確実に前作よりもステップアップと個性を
感じる作品なのは事実ではないかと。シナリオ以外の要素は相変わらずズ抜けた完成度の高さで
重箱の隅以外に文句のつつきどころがありませんし、是非ともこの調子で次なる作品を
出していって欲しいとは強く思いました。


それでは最後にオススメユーザーについて。
これは何だろうなぁ、結構具体的にどういう人にジャストマッチ、っていうのが難しい作品ですが・・・
とりま「植田リョウ氏の絵が好き」なら是非見て欲しい、それだけの絵の質の高さはまずガチ。
お話系についてはやはり「多少ややこしくても考察や推理が好き」であれば楽しめる余地はあるでしょう。
ちょっと微妙なところも含め(笑)、自分でも整理したり組み替え想像したりするのが好きなら
いろいろ楽しめる作品ではないかと思います。
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