
| タイトル |
Hyper→Highspeed→Genius |
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|---|---|---|---|
| メーカー |
ういんどみる |
発売日 | 2011年6月24日 |
| 原画 | ミヤスリサ/ユキヲ |
シナリオ | サイトウケンジ/ 三日堂/深山ユーキ |
| 評価 |
81点(100点満点中) | ||
中堅クラスの人気ブランド、ういんどみるの完全新作は「ピカレスク風純愛AVG」。
メーカーのフラッグシップタイトルではありますが、看板絵師であるこ~ちゃ氏が原画ではなく、
ミヤスリサ氏とユキヲ氏のタッグという非常に珍しい組み合わせと、その特異な原色の色使いと統一された
デザインセンスで非常によく目を引く作品となっていた本作。しかしその一方で前作「でにけり」での
KOTY受賞に至るほどの受け入れ難いゲーム作りだったマイナスの実績と、原画がいつも通りではない=
馴染みがないという二点が不確定要素として事前に読みにくく、結果どこか発売まで一歩引いた感じで
見られていたタイトル、のようにも思います。
しかしいざ作品に触れてみると、事前に思っていたそれら二点の問題についてはほぼ杞憂の出来でした。
むしろそれ以上に良かったとすら言える部分も。特にゲーム作りという点においてはでにけり同様割と
実験的かつ挑戦的なのですが、ちゃんと人に受け入れられる良さとしてそれら特徴がよく出ているので
単純な面白さと覚えの良さが巧く両立した非常に興味をそそる作品となっています。
また絵についてもこ~ちゃ氏の描く今までのものと確かに違うがためのマイナスもありますが、
今までのそれとは別の良さは確実に内包していましたし、加えて単純なボリュームの幅や
キャラクターデザインセンスの差など別の点で高く評価できるところはあり。その他、システムや音周りなどの
要素ごとの完成度も決して低くはありませんし、十分いい作品と言える範疇にあるものだったと思います。
とは言え勿論全てが手放しで喜べるものでもなく、やはり特徴的な作りであればその分人を選ぶ点や
ちょっとこれはどうかな、と思うところがいきなり皆無なんてことにはならなくて。殆どはプレイしていて
流れに慣れるものかなとは思いますが、重箱の隅としてつつく箇所はそれなりにあります。
また、お話についても・・・これはどちらかというと今作のみというよりはういんどみるのいつも通りでは
あるのですが、相変わらず話のテンポがいい代わりに全体的にストーリーは軽め。
深く考えるよりは流れに乗って気楽に楽しむタイプのゲームだとは思います。
まぁでも、他の平均的な萌えゲーとの差別化も出来ていて、かつエンターテイメントとしての魅力は
それらと遜色がない以上のものなので、気軽にプレイするゲームとして選択肢に上げるのは十分にアリ。
ういんどみる復活、と言ってしまって構わない良作だったと言っていいと思います。
以下長文感想。
プレイボリュームは平均的かそれよりちょっと多いくらいか?全体で20時間以上はあると思います。
決して各ヒロインごとの個別は長くないのですが、問題はそのヒロイン数。基本的にレギュラーで出番のある
ヒロインは全員ルートがあり(聖女候補+補佐×3+光理ルート)、かつ各学園の代表ヒロインは
エンディングが複数あるのでコンプリートまでの周回回数は普通のギャルゲーよりもかなり多め。
加えてメインとなる聖女候補キャラの長さには劣るものの、このゲームではサブヒロインのルートも
他のゲームでよくある、おざなりなおまけルート程度ではなく、それこそファンディスクでありそうな
程度にはしっかり話が作られているので、ボリュームとしても盛りだくさんな感じを受けます。
ちなみにシナリオロックは光理ルートのみ。それ以外のヒロインならメインだろうがサブだろうが
即突撃が可能です。ルートごとの相互ネタバレみたいなものも殆どないので光理ちゃん以外は
ホントにお好みでプレイが可能です。
また、ルート分岐数は多いものの攻略は難しくはなく。ただ、前述した唯一のロックキャラである
光理ルートに関してはちょっと特殊で、他の9人のヒロインを単純に攻略する以外にもメインルートから
分岐するとある選択肢を選ぶことによって手に入るフラグが必要になっています。
攻略サイトなどを見ながらクリアすればスマートに進められるとは思いますが、この構造を把握するのに
初見では最低一周がどうしても必要なので、そこだけちょっとややこしいかもしれません。
ゲームの進行関係。話は話数形式で進行し、日付概念はなし。ADVというよりはどちらかというと
読み物的な方向に演出が振れていて、話の頭にまずピークをもってきて、「どうしてこうなったのかというと」
という形で時系列が戻るパターンが多数あるのがちょっとクドいかも。ただ、やり方がクドいだけで
話の把握自体は簡単なので混乱するほどのことではなし。
むしろ進行で問題となるのはその話数の多さとアイキャッチの多さ。折角テキストのほうはスピードよく
進むのに、アイキャッチと話数またぎの演出がしょっちゅう入るので(大体共通~メインヒロイン
個別一周まで20話&1話あたり3~5回のアイキャッチ数)これがかなり作品のテンポを落としてます。
また更に鬱陶しいのが話数またぎごとに出てくる「セーブしますか?」の選択肢。恐らく前述の通りの
ルートの多さと光理ルートへのフラグ取得に対する保険措置だと思うのですが、手動選択肢で出てくるので
いちいちこの都度話から強制的に覚めさせられます。いっそ話数ごとのオートセーブでよかったのに。
また加えて困ったことにこのセーブが設定でとめられないのがまた残念。
このゲームの中で多分一番飛びぬけて残念な点がこのあたりにまつわる部分だとすら言えるでしょう。
ただ、このルート数の多さ&進行のわずらわしさを緩和してくれるのが進行関係のシステム。
もともと選択肢が多いゲームなだけに、スキップ、次の選択肢へ進む、前の選択肢へ戻るはしっかり完備。
加えてこれら三つのスペックがなかなか高く、スキップは爆速、進む&戻るのシステムもかなり軽い上
バックログにもしっかりと対応しているので、ぶっちゃけ一度もセーブをせずにプレイしたとしても
セーブを活用してのプレイとさほど差はないプレイ時間でクリアできると思います。
これについては褒める点しかとりたてて思いつかないです。
そして全般のシステムについて。コンフィグ項目は前述の「セーブしますか」を切れない問題以外は
おおむね問題なく、今特に主要に必要とされるものは揃っています。
出来ないことくらいですかね、気になるとすれば。
※追記修正:「設定」→「ゲーム設定」→「音声」にて変更できた模様。失礼致しました。
後はデフォルトの設定のままだとちょっとメッセージウインドウが「濃い」です。元々原色に近い
ビビッドな色合いの多いゲームなだけあって濃い方がデザイン的にはいいんですが
やっぱり立ち絵の腰より下が見えるか見えないかで言うと見えたほうがいいですよね。エロス的に。
システムデザインの方は洗練度としては非常に高いです。元々HPの方からして既に素晴らしく個性的な
デザインイメージでインパクトを取ってきてましたが、作中でもそれは変わらず。非常にこのゲームを
記号化し覚えをよくするのに一役買ってるナイスデザインだと思います。
確かに他のゲームと比べると若干デザインが目立ちすぎているきらいはありますが、それらが決して
悪い意味での目立ちだけに繋がっているわけではないのでこれは巧い出来ではないでしょうか。
また、かといって可読性を損ねているかといえば決してそんなこともなく。コンフィグなどの文字装飾も
細かい所までしっかり練られた色選択をしているので触りにくい、読みにくいということもありません。
単純にデザイン面だけで言えば今年の今のところ出ているタイトルの中でもトップレベルでしょう。
続いて演出。これはまぁ普通レベル・・・でしょうか。守護者(ジーニアス)による能力(ギフト)などと
コテコテの異能力系ゲームではありますが、それらの発動は大抵が一枚絵にオーラ程度で表現されており
画面上を激しくエフェクティブに彩るなんてことは殆どありません。ただ唯一、主人公が使う
ハイパーハイスピードが発動する(=殆どが選択肢画面なのですが)時のみえらい凝ったエフェクトが
入ります。これの出来はなかなかいい感じ。
後は若干の立ち絵文章同期があり。これはクロシェットやゆずソフトほどではありませんが、一部文節で
普通のゲームよりは多く入ります。また、立ち絵における表示位置での空間表現もあり。
感情エフェクトも絵を上乗せする形での表現で多種あり、とそのくらいでしょうか。
多く目立つものではないけれど、さして表現不足を感じるほどのものでもなく、といったところでしょう。
お次は音周り。まずは音楽についてから。
ボーカル曲は主題歌と、エンディングが2曲の計3曲。BGMが27曲で合計全30曲となります。
主題歌はすっごく個性的な曲。最初の入りの一瞬はPOPなのにすぐ重厚なサウンドに切り替わるところが
個人的に好きですが、全体的に勢いがありつつ色々ゴッチャりした感じがあるのはこのゲームの
入り混じり感とよくよく合っていていい感じ。デモも同じような作りですがこのゲームらしいと思います。
対してEDはよくある声優さん曲。ほんとにこれはよくある感じ。
BGMの方は音一つ一つのインパクトが強くていつもと違うな、と思ったらABHARやTrumpleの曲作りを
やっていた羽鳥風画氏担当だそうで大変納得。これまたこの作品の、とりわけあのはっきりしたデザインと
よくよくマッチする音作りで凄くいいと思います。曲作りの人の個性自体がちょうど合ってましたね。
効果音の類は普通な感じ。コンフィグ等の細かいところの動作音がとりわけしっかりしている印象が
ありますが、それ以外はあるべきところに普通にある、という感じ。若干環境音以外にも感情音もあります。
音の安っぽさなどはないので、十全ですがとりたてて語るところもないかな、という感じ。
声優さんは基本問題ないですね。全員キャリアのある方々なので安定性も高いですし、演技指導の
方向性などにも違和感はなく、すぐさまするっとキャラに入り込めるように思いました。
気になるとすればパートボイスのある主人公でしょうか。こういうダークでフェミニストっぽい
キャラにしては高めの声で、カウントダウンムービーなどでは特にギャグな発言時にキャラ崩壊気味で
不評だったみたいですが、実際劇中ではスカした発言でしか声がなかったのでその意味ではセーフ。
ただそれでもやっぱり高くてイメージと違う、とする人はいるかもしれません。
お次は絵について。原画は序文でも書きましたとおりいつものこ~ちゃ氏ではなく、ミヤスリサ氏と
ユキヲ氏のタッグ。ミヤス氏は他の作品でも色々なところで見る方ですが、ユキヲ氏はエロゲ原画からは
かなり離れていて最近は漫画の方がよく目立っていた方なのでなんとも意外な人選でしたが。
しかし舞台は違えど実績ある二人なので絵としての個性と魅力ある方々なのは確かでしょう。
ただ流石に多くのエロゲーを毎年手がけているミヤス氏と比べると特に立ち絵などでユキヲ氏は
安定感がブレますね。これは仕方ないっちゃ仕方ないかもしれませんが。
そして逆に塗りという意味ではミヤス氏がイマイチ合ってない感じ。いつも通りのういんどみる塗りは
ちょっとミヤス氏の絵に対するとやわらかさが足りない印象です。
これら二点の要素の後押しもあって二人原画の違和感はちょっと強めでしょうか。
面白いスタッフチョイスなのは確かですし、エロゲ全体からすれば絵の魅力だけで売れる魅力はありますが
この作品のメーカー同士で比較した際、こ~ちゃ氏を使わずにこの二人を選択した理由は
キャリアや方向性の観点から見ても少し弱かったかなぁと思わざるを得ないでしょうか。
まぁこのあたりもこ~ちゃ氏の絵を使わないでどこまでやれるかのある種博打、実験として
みてるところもあるのかなと思いますが。
あ、ただちょっとよかったと思うのが、これは原画氏さんのセンスなのか判然としませんが、いつになく
キャラクターの衣装デザインは良かったなという印象。聖ジュライの制服だけはちょっとアレだなぁと
思いますが(笑)、それ以外、特に女の子の私服などはえらい可愛かったです。キャラクターの性格も
よくよくこれだけで表現できてたし、このあたりは高く評価しています。
イベントCGは枚数120枚弱。さすが攻略ヒロインが多いだけあって莫大です。
とはいえこれでもヒロインが10人もいると1人あたりの枚数は普通のゲームよりむしろ減って
しまうのですが・・・しかしこれ以上枚数を増やすととてもじゃないがフルプライスどころのボリュームでは
なくなるのでここが限界ギリギリラインでしょう。メイン級である聖女候補三人と光理がちょっと多めで、
補佐6人が若干少なめな感じでバランスが取られています。勿論誰かヒロイン一人をとことん注視して
楽しみたかった人には少し物足りないかとは思いますが、客観的にいいか悪いかで言えば
よく頑張ったものだと思います。ちなみに差分でも物足りないと思うところはほぼなく十全な感じ。
また、通常CGとHCGの比率は3:2か4:3くらい。加えて言えばこちらでもイベントCG同様人数の多さによる
Hシーンの数の薄まりはあり、先に語ったCGの多いメンツがHシーン2回、補佐が1回のみとなっています。
昨今のエロゲからするとヒロイン一人につきイッカイダケやニカイダケはやっぱり物足りないと
感じてしまうのもわかりますが・・・全員足すと14回あるので合計だけなら平均的な数なんですよねぇ。
一応そこらへんのカバーとしてか1回のシーンはかなり長いです。
それもただずるずる長いのではなく、○回戦的な意味で。主人公割と絶倫さん。
ただやっぱり1回2回だと「あの衣装でのHシーンが見たかった!」を満たせるかが叶いにくいのは確かか。
立ち絵のお話。これはかなり豊富ですね。基本となる全身のポーズは主軸ヒロイン四名は3、
聖女候補ズが2ですが、これに腕などの部分差分が割と膨大にあるので組み合わせでポーズは6種以上。
これに衣装も制服が二種、私服、水着あたりは完備。その他バスタオルや全裸があったりなかったり
ってところでしょうか。これだけ豊富だと流石に表現には困らないですね。画面を見ていてもよくよく
動くので彩りも豊かです。ただ、ポーズが多い分個別ポーズに個別表情という傾向が強く、
ポーズ一つに対する表情は少なめです。まぁだからといってどうともならんのですが、強いて言えば
せっかくクリア後にキャラモードがあるのにこのポーズにこの表情したのが見たかったんじゃーという
ニッチな要望にはこたえにくい、かも(笑)
そして最後にお話周り。
まずはキャラクターズ。設定こそラノベやアニメに非常に近い作品ですが、出てくるキャラクターは
平均的な萌えゲーナイズなキャラクターですね。キャラクターに割り振られた萌え属性も比較的
テンプレート気味ですし、非常にわかりやすく把握しやすいヒロインが多いです。
劇中のストーリーも実際の時間軸で起こる某かに対応することで進むタイプの作品のためか、
悩みやキャラクターの根っこ、過去などもそこまで重くはない、或いは重くても一気に盛り込んで
昇華してしまう傾向が強いので、あまり面倒くさいことは考えずに恋してイチャイチャできるのを
良しとするか、その分キャラクターの存在感が薄まるのを非とするかは判断に悩むところ。
作品としてはバランスとメリハリ取れてていいと思うのですけどね。しかしちょっとキャラクターが
話が先に進めば進むほど舞台装置っぽくなってるのは否定できないかもしれません。
ただ光理だけはその点微妙に異質ですが・・・彼女だけはなかなか昨今の流行を強く取り入れてるきらいがあり
性格的にも一人だけ新機軸ヒロインっぽい雰囲気がありますし、ストーリーとしても根幹を担うヒロインな
だけはあってどのルートでも常に重要な立ち位置にいるので存在感も抜群。
それ故ちょっと・・・いやかなり浮いてますが魅力も高いです。
そして光理と共に抜群の存在感をかもし出しているのが主人公。彼も実はあんまりキャラの根っこは
強くないんですが、それ以上にその目的意識の強さ、全力で中二病っぽい言動、そしてなにより
主人公力としてしか評すことのできないオーラが強いので非常に見ていて面白いです。
性格としては善良な真人間の皮を被った野心家、という設定ですが、意外と簡単に化けの皮は剥がれるし
凄くどうでもいい所でエロ本能を出したり、或いは急にツッコミの立ち位置に切り替わったりと、なんとも
サイトウケンジ氏のキャラっぽい性格かつブレっぷり。ですがなんだかその不完全さがプレイする上で
親近感みたいなものを沸かせてくれるのはいい所です。ずっとニヒルだったり冷血だったりした方が
多分シリアス面では面白くなったのかもしれませんが、こっちの方がエンターテインメントっぽくて
とっつきやすく楽しみやすいのは確かでしょう。
主流派な主人公ではありませんがこれはこれでかなりいい主人公だったとは思います。
テキスト。シナリオライターはサイトウケンジ氏、三日堂氏、深山ユーキ氏の三名。後ろ二方はあまり
名前を見ない方ですが、深山氏が同じくサイトウケンジ氏と共に先日のもろびとこぞりてで名前を
見かけた人なあたり、恐らく三名ともサイトウ氏ゆかりの方なのかなと思います。実際劇中でも
あまり3名のライターがいるような感触は受けません。
文章の傾向も割とアクは弱め。主人公のモテっぷりやキャラの作り方、ボケとツッコミがしっかり
割り振られたギャグパートなどは確かにサイトウ氏っぽいものの、空シリーズなどで多く見られた
パロディやネット用語のようなともすれば悪ふざけっぽい所は殆どなく、思ってた以上に読みやすいです。
そこらへんが苦手に思ってた人もこのタイトルなら読みやすいかもしれません。
んでシナリオ。基本的にはまさに公式HPで語られている通り、世界を変えることができるかもしれない
立ち位置にいた主人公が、その思考能力を駆使して本当に変えようと暗躍してみたものの、暗躍の途中で
ヒロインを好きになってしまってさあどうしたもんかと悩む物語。これが本当に看板に偽りがなく、
主人公が色々と知略を駆使し(たまに光理に頼ってズルをし)てヒロインを驚かせ、取り入り、
深く食い込んでいく少年漫画的な面白さも、しかしヒロインに本気になってしまってどうしようか悩み
愛と現実を天秤にかけて選び抜く王道エロゲー的面白さもしっかり両立しています。
ゲームの根っこの面白さや「ピカレスク風」と謳っている部分については「デスノート」や「ギアス」
を彷彿としますが、部分を切り取ってみるとむしろ「神のみぞ知るセカイ」に近い作品かもしれません。
何より能動的にヒロインを攻略するという様は非常にそれっぽいですね。
ここで加えて少しシナリオという側面からは外れますが、もう一つ特筆するいい点として
「能動的に攻略する」というポイントに即して「選択肢が非常に生きている」のがかなり素晴らしいです。
このゲーム、Hシーンの中外選択以外、選択肢というのはイコール主人公が自分の能力で高速思考を
することにより発動します。場当たり的に「どこかへ移動しよう」とか「今日は○○して過ごそう」なんて
選択肢を選んだら偶然ヒロインにばったり会って好感度が上がる普通のエロゲーとは違い、
こう動けば、こう発言すればこのヒロインの好感度が上がるのでは、と主人公がその場で思考した事が
そのまま選択肢になるので、これが非常にユーザーの視点とマッチし、感情移入度をかなり高めます。
これは本当に良かった。こういう下心丸出しの能動的ヒロイン攻略はそれこそ陵辱ゲームなどでしか
殆どないものでしたが、萌えギャルゲーでこういう「攻略する面白さ」を入れてきたのは非常に
見所として強く注目すべき点だと思います。先に近しいタイトルとしてあげたアニメや漫画のタイトルが
受けた昨今の風潮だからこそイケた手法だとは思いますが、今後このタイプの作品は広がりそうな
可能性が垣間見える特徴的な見所でした。
さて話はシナリオ自体に戻りまして、勿論全体的にべた褒めするわけにはいかないところもあり。
なんといってもやっぱり問題となってくるのはその軽さ。これまた先に似たタイトルとして述べた
三作品と比べると(流石に酷な比較対象ではありますが)伏線の張り方などはまだまだ弱く
ご都合主義でごまかしている部分はちょこちょこ散見されます。結構グランドエンドの終わり方ありきで
話を作ったきらいがあり、最後までやると導入部分の方に戻るほどかなり甘かったなと感じます。
盛り上がりまでの積み重ねをもう少し煮詰めてほしかったところでしょうか。
後もう一つ、これは仕方ないことでもありますが、絵と理由を同じくする問題として、ヒロインの数が多く
個別がそこまで長くないところと、またシナリオとしても最後までの流れを優先している結果も相まって
各ヒロインとのいちゃラブタイムはぶっちゃけ大して長くありません。
キャラは折角可愛くてかつより取りみどりで選べるのでこれはちょっと生殺し感があるかなぁと。
また「ういんどみる」作品としてみた場合、既存ユーザーがまずどこに期待してるかっつーと
やっぱりここかなぁと思ってしまうだけに、ちょっと惜しかったんじゃないかなと。
以上、こんな感じでございました。
個人的にはこのゲームは凄く「好きな」作品になりました。なんといってもあれだけの失敗を糧に
これだけアグレッシブな作品を作ったのは非常に賞賛に値します。特に一種の盲点だった
ピカロな主人公と恋愛と選択肢の説得力の掛け合わせというのは非常に興味深いです。ここらへんを生かして
ヒロインの多さなんかはそのままに、ただ恋愛するだけのゲームでも全然面白いんじゃないでしょうか。
ちょっと話題は逸れますが、漫画「バクマン。」の中で邪道な漫画のネタの一つとして語られる
「イケメン高校生が何股できるかを真剣に競う話」とか、あれはエロゲでこそやるべきじゃないか、とか
連想してしまったりも。なかなか想像や未来をかきたてる作品だったように思います。
惜しいのはそのチャレンジっぷりが故に逆にメーカーカラーからするとズレ気味だった要素が多いことか。
コレはコレで確かに面白いゲームではありましたが、既存のういんどみるカラーを求めていたユーザーが
これをどう思うかというと、ちょっと抵抗値が普通より高いかなと思う点は多々あり。
変化を取るか不変を取るかはメーカーブランドとして永遠のテーマの一つとは思いますが、もうちょっと
すり合わせを巧くできればよりいい作品になったかなぁと思います。
んでは最後にいつものオススメユーザー。
これはかなり手広くていいんじゃないでしょうか。むしろ既存のういんどみるプレイヤー以上に
単純にどみる未経験者も含め、年齢層からプレイ層まで広く、萌えゲーを嗜むことができるのであれば
ほぼ誰でもやってみて損のないタイトルだと思います。
今後の可能性の糧としても是非。少なくとも私はもっとこういうゲームが増えてもいい、と思いました。


















