October 10, 2010

fortissimo EXA//Akkord:Bsusvier(フォルテシモイクサ アコルト:ビーサスフィーア) - 超絶バトルは終わらない!!誰も見たことのないフォルテシモがここに!

タイトル
 fortissimo//Akkord:Bsusvier
 メーカー
 La'cryma
 発売日  2010年9月30日
 原画  鷹乃ゆき/立羽/こなた
 たにはらなつき/たかとう
 シナリオ  神夜優/johnny
 青葉大/友野健人
 評価
 50点(100点満点中)

サーカスとブロッコリーというライト系オタク御用達会社の共同ブランドであるL'acrymaの新作。
「こそばゆい学園恋愛カコフォニー」とかいうよくわからないジャンル名は完全に無視して構いません。
単純にビジュアルみたまんまの中二バトルモノタイトルと思って構わない作品でしょう。
ちなみに18禁版初回特典がついた18禁パッケージこそ存在しておりますが、内容自体はR指定ではなく、
またゲーム単品で買えば6800円というミドルプライス級の価格帯になりますので、ゲームとしての評価は
それに準じた形で書こうと思います。

で、その内容はというと。
作っている所からしてそうなるのはまま予測できましたが、まぁ見事に全体的に「軽い」です。
いかにも中高生が楽しめそうな展開で重厚感という感覚はちょっと得がたいシナリオや、見た目の
それっぽさを重視しすぎてユーザビリティの微妙なシステムなど、全体的にツメが甘い印象。
ただ、成功失敗を問わず見れば工夫を設えようとしている部分は見て取れますし、
シナリオとしてみると軽いも、キャラクターの設定など要素としてみれば面白いものは結構あったり、
お家芸というかキャラクターの可愛さだけなら結構魅力的なものはあったり・・・などなど
なんというか素材はいいものをそろえたんだけど料理する段階で失敗した、というイメージを受けました。

ただ、いい部分も悪い部分も含め全てをひっくり返すというか全てを台無しにするとんでもないエンディングは
流石にどう考えてもフォローのしようがありません。無理です。どう取り繕おうとしても取り繕えないマイナス。
この一点のせいだけで、はっきりいって「誰にも勧められないゲーム』にまで成り下がってます。

また、音声ナシという面も別に音声ナシである必要性を感じず、単純に予算か時間がなかったとしか
思えないのでこれも完全にマイナス。

色々な意味で、完全版が出るまでは買ってはいけないタイトルだと思います。
(19:30修正:点数の検討に間違いがあったので下方修正しました。)


以下長文感想。

まずそもそも最大のマイナスであるエンディングについて。ネタバレなので以下反転しますが
この前提を知らないとゲームの価値が根底から変わりますのでご注意下さい。

(反転開始)
簡単に言えば「未完」です。何も解決せず、またかなりの伏線を放置したままエンディングを迎えます。
ラスボスと戦うことすらしません。前哨戦みたいなのが終わったところでエンドロールが流れます。
これには流石にびっくりして呆れるよりも笑いが出ました。
今年は似たようなパターンとしてTiny Dungeonがありましたが、あちらはまだ1ルートとしては
決着をつけているので、それにすら及ばず。かなりどうしようもありません。フォロー不能です。
今年は画面サイズがやたらデカいゲームによく爆弾が埋まっているような気がするわ・・・(笑)

(反転終了)

さて、気を取り直してここからはいつものように要素別で。

プレイ時間は・・・15時間くらいかな?音声がないので完全に読む速度がプレイ時間になるので
かなり人によって左右されると思います。ルート分岐のようなものは殆どありません。一本道です。
ただ一応、サクラ、紗雪、紅葉、美樹の誰か「寄り」になる、という概念はあるみたいです。
ただしこのうちそれなりに恋愛っぽくなるのは紗雪と紅葉のみで、残り二人は遭遇が増える程度。
加えてエンディングがアレなためそっち方面には期待するだけ無駄だと思っていただければ。
ゲームの区切りは日付区切りの他ザッピング形式でちょくちょく主観視点となるキャラクターが変わり、
そのたびカットインが入るので割かしつけやすい感じ。前述の通り話も設定が多いはずなのに
大して重くないのでどこかから適当に再開しても内容にこんがらがるということは殆どないでしょう。

システム面。コンフィグメニューの設定内容は最低限レベル。どうでもいい事が設定できるわりに
必要なことが設定できない部分が多々。ゲーム画面のデフォルトサイズがかなりの大きさなのに
縮小ができないのもキツイですね。ただ、コンフィグ画面に関して言えば見易さはかなりのもの。
逆に恐ろしく見づらいのがメインウィンドウやゲーム中のメニューウィンドウ。デザイン完全重視で
確かにそこそこかっこよく特徴的ではあるのですが、ちょっと可読性を犠牲にしすぎ。
ボイスがないことが余計セリフなどを認識させづらくなっており、これぞまさに失敗システムデザインであると
断言できる反面教師の典型例です。どうしてこうなった。調子のったのか・・・。
また、システムそのものもかなり重いです。低スペックPCだと他のプログラムを後ろで走らせながら
プレイするにはちょっと厳しいかも。画面描画がデカイから仕方ないってとこもありますが。

演出周りは悪くないかな。キャラクターを彩るタイプのエモーション演出はないですが
特にサクラとまお太を中心にキャラクター自体はそこそこ動くし、バトル時の演出なんかは
各々キャラクターの戦闘効果が存在してるしで結構頑張ってます。ただ、目新しいものがあるわけではなく、
FateやDies iraeあたりで見たことがあるようなのばっかりとも言えます。
あと、バトルの演出にしろ日付のカットインや何かの演出にしろ、ほとんどがスキップできないので
周回プレイやルート回収の時はちょっともどかしいものがあります。特にバトル演出はやたらと多いので
凄くひっかかる。もうちょっと飛ばせるようにしてほしかったところ。

音楽。この作品にして出来自体を手放しで褒められる唯一の項目かも。
ゲームの音楽鑑賞モードで出来る楽曲数全33曲。うちボーカルも結構。BGMは特に
バトルシーンにおいて秀逸。疾走感と臨場感はひとしおで、このジャンルのゲームの中でも上位に足るもの。
ボーカル曲もどれも名曲。特に主題歌となるAsgardは珠玉の出来。
妖精帝国はこのゲームの雰囲気にカンペキにマッチしてますね。
早いところボーカルミニアルバムが欲しいです。ちなみに今月末発売予定だそうで。
音楽周りで不満があるとすればボーカル曲の割り当てでしょうか。ちょっとボーカル曲の多さの割に
曲がかかる場面が後ろの方に偏りすぎに思います。もう少しばらけさせて使ってもよかったのでは。
あと、システムとしてちょっと曲切り替えが唐突すぎるか。ぶつ切り感強めです。

絵。原画は大場陽炎氏。他にも多くの原画さんをサブとして起用していますが基本はこの人で
メインキャラを一人で担当してるっぽいので劇中違和感のようなものは塗りの統一もあってほぼナシ。
氏の絵自体も非常にクセのない萌え絵を描く方なので極端にキライになる人はいないと思います。
女の子は可愛く、それ以上に男をカッコよく描くという点ではかなりいい仕事をしているのでは。
主人公とライバルの痩せマッチョさのバランスとかなかなかいいですね。ただ、それはそれとして
いくつかのCGで人間の体として崩壊してそうな部分があったのがちょっと残念。
イベントCGは80枚足らず。まぁ、ミドルプライスタイトルにしては悪くない数かな?
ただ、バトル時用立ち絵みたいなCGだけで10キャラ以上の分だけ存在しているので、実際に
「イベントCG」としてみようとするとそのカタログスペック以下の印象に感じます。
あと、イベントCGとしては差分が足りないといったところはそんなに感じないものの、
「なんでそこにCGが?」と「なんでこのシーンにCGないの?」がちょこちょこと感じるシーンが。
立ち絵は割と豊富。特にメインで動く6名の数はポーズも多いし衣装も多い。
1つのポーズで腕だけ動かすといった形でより表現を増やしてる部分も見られます。これは良かったです。
ただそのかわり、ちょっと表情が残念。特異な場面に対応できてなかったり(泣き顔がない、など)、
もしくはなんでこのセリフにこの表情?と思うような表情選択に疑問を持つ場面がちらほら。
バリエーションがなかったわけではないんですけどねぇ。

キャラクター。序文で素材はいい、と言ったとおり、どのキャラもキャラ単体としてみる分には
わりかし良く出来てます。バトルモノにありがちなキャラそれぞれの妙なこだわりや性格付けも
しっかりつけていて、味方キャラは魅力的に、敵キャラはいやらしかったり鬱陶しかったり同情させられそうに
なったりとそれぞれに引きがあり、登場人物が多い割にそこそこみな存在としての覚えがよいです。
(ただ、せっかくキャラとしてはよくできていても、シナリオとして活用できてないキャラが数キャラおり、
それらに関して言えばかなり存在感薄め。そのキャラクターの登場の遅さや設定の深さを呪うしかないですね。)
バトルものらしく、特にキャラの芯がどいつもこいつも太く、無茶だったり無謀だったりしてもブレないのも
「らしくて」いいです。後半の味方同士の意見のぶつかり合いなどは見てて中々面白い。
特にヒロインの中では紅葉の自分らしさの貫き方と、そこが揺らいでいく動き方はあまり他のゲームでは
見られないタイプで印象的でしたし、男性キャラクターでは龍一のスタンスはかなり鬱陶しくも
「ライバル」とするにはは実にいい働きをしていたように思います。

ちなみに公式ではダブル主人公のような扱いの紹介をしていますが、主人公は零二の一人と見て
問題ないです。ザッピングでもう少しライバルの龍一にスポットがあたるのかと思ってましたがそんなことはなく。
プレイしていてストレスになりそうなくらい龍一は頑固で朴念仁なので、むしろ主人公扱いされてなくて
よかったような気はしますが。反面、零二は非常に感情移入しやすいいい主人公をしています。
やたらと「決断」をキーワードにする割に問題を後回しにするキライはありますが、ヒロインたちとの距離も
絶妙ですし、プレイヤーキャラクターとしてみる分には嫌われにくいキャラじゃないでしょうか。

そしてそれらキャラクターを彩る中二バトル能力の数々について。確かにどれも見たことがあるような
能力では確かにあるのですが、このジャンルでどれがパクリ、あれがパクリと言い出してはキリがないですし、
いくつかには見たことのない面白い能力も確かにあったり、また何より能力とキャラクターの組み合わせ方に
なかなか趣向として巧くできているものが見られたので個人的には悪くないと感じています。
また、メインキャラの必殺技や奥の手、切り札の類は中でも結構見ものだったかなと。
能力や固有名詞やらなんやらがサーカスやゲーマーズの絡んでいる他商品のパロディだったりするのについては
賛否両論ありそうですがまぁ目を瞑れるレベルのお遊びでしょう。このメーカーだからこそ出来ることであり、
また面白い試みなのは確か。違和感や雰囲気ブレイカーじゃない?という疑念は序盤で消えますし。

で、それら素材を料理したシナリオとテキストについて。
テキストについてはちょっとバトルにしても日常にしても、内側の語りや設定、説明の語りが
いくらか自己主張が強く、くどいかなぁという印象。特にバトルにおいて、状況説明ばかりで攻撃の威力や
影響などの描写をいまいち演出に頼りすぎているきらいがあり、文字からくる緊張感のようなものが
かなーり軽いです。バトルモノは何よりもやはりここで差がつきますね。
また、戦闘の流れについても結構苦言を呈したい感じ。折角の魅力的な能力を持っているのに
いまいち活用の幅が広く、戦術的な工夫が見られないです。展開事態もどのバトルをとっても
所謂BLEACH的な、「Aが圧倒する」→「Bが本気出す」→「A『何・・・だと・・・』」→
「A『なんて驚いてみたけどこっちも本気出すわ』」みたいなわかりやすーい流れのものばかり。
バトルというより能力の披露しあいという感じで、能力だけ何も考えずに見てつえーつえーと言ってる分には
多少楽しめるかもしれませんが、いわゆる深みみたいなものはさっぱりです。
誰でも思いつくような能力の活用をした主人公に対し「キミは天才だ」とかのたまう自称戦闘のプロの
龍一の発言には失笑を禁じえませんでした。

後はテキストの特徴としてはキャラの言葉でのぶつかり合いがかなり青臭いこと、くらいか(笑)
でもイマドキここまで言葉にしてぶつかり合うキャラは珍しいのでこれはこれで。

で、シナリオについて・・・ですが。正直語りようがないんですよね。あのエンディング的に。
とりあえず、大筋としての地盤設定や謎はなかなか底が見えず興味をそそられるものではあるのですが・・・
そそられる、止まりですしね。なんともかんとも。
しかしこれだけではレビューにならないので、無理矢理話の転がし方だけについて言及してみるなら・・・
やっぱりそれもまた微妙な出来、止まりですね。とにかく各キャラクターたちの行動が
みんなしてどうも頭が悪い。事件に巻き込まれて以降、メイン登場人物のやることと言えば足で街を
ブラブラ歩いて黒幕を探すだけで、書物を調べるとか怪しい場所を検討するとかそういう行動に一切出ず、
結局徒労実らず状況に流されてマホウバトルに連れ込まれるというパターンが最初から最後まで続くので、
人が倒されて減っていく以外に話が全く進まないという体たらく。結局事件についての手がかりなんて
ほぼ最後まで何もわからないです。もうちょっとゲームに引き込ませるよう、情報を小出し小出しで
展開できればまだもう少し面白みもあったように思うのですが。どうも軽くて薄っぺらい。
まぁ褒めどころをつけるとすれば、日常パートはサーカスらしいラブコメしててそんなに文句は
ないかなってとこくらいでしょうか。キャラ「は」可愛いしね。
やっぱり「素材はいいのに調理が・・・」という落胆に帰着してしまいます。


以上、こんな感じでした。
失望とまではいかないまでもがっかりな感じですかねぇ。ホント、全てをエンディングが台無しにしています。
会社的に多分完全版が出るんじゃないかと思えるだけに、ここで発売日に買ってプレイしたことが
無駄にはならないだろう半面やっぱり納得するのは難しいですね。
それがどういう媒体になるかは判りませんが、それこそ完全版化があれば恐らく
エンディングの刷新だけでなく音声追加もありそうですし、少なくとも現状のこの作品は
買うには値しないと言っても過言ではないでしょう。

というわけで今作のオススメプレイヤーは該当なし!
完全版まで待ちましょう。完全版が出たらライトな中二バトルモノや派手な能力展開が見たいって人は
そこそこに楽しめるんじゃないでしょうか。ってぐらいですね。


しっかしほんと、エンディングにたどり着いた時の自分の乾いた笑いったらもう。
今年二度もあの感情を、しかもより輪をかけてレベルの高いものを抱くとは思いたくもなかったですよ(笑)
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