September 7, 2010

プリズム☆ま~じカル

 タイトル
 プリズム☆ま~じカル PRISM Generations!
 メーカー
 ぱじゃまソフト
 発売日  2011年8月27日
 原画  大野哲也/たにはらなつき
 キムラダイスケ/杏奈月
 シナリオ  亜古らいと/雨野智晴
 林ふみと
 評価
 79点(100点満点中)

ぱじゃまソフトかなーり久しぶりの新作はプリズムシリーズ最新作!・・・と、言ってもプレイするにあたって
99%を楽しむ分には過去のプリズムシリーズの知識は一切要りません。
基本的にはは単発のゲームと思っても問題はないでしょう。

ぱじゃまソフト10周年を記念したタイトルとして発売。看板原画である大野哲也氏に加え、
萌えゲー原画氏として名高いたにはらなつき氏をもう一人のキャラ原画に、
SD原画に杏奈月氏を起用している事を筆頭に、色々と新たなことに挑戦している雰囲気が伺えます。
さて、その結果は・・・とすれば、新たなところにしろ既存の部分を踏襲しているところにしろ、
良いところもあれば裏目に出ているところもある、まぁいつものぱじゃまらしい感じです。(笑)
ただ今作に関して言えば、今までのタイトルの中でも比較的よく纏まっているのではないでしょうか。
全体的な作りこみのバランスがよく取れている印象です。お陰で今まではバトルにしろ話にしろ
個性として尖っていた部分が逆にユーザーのプレイストレスに繋がってしまい、結果ユーザーを選んでいた
部分が、今作はわりかしどこも丸く、じっくりからサラっとまでプレイヤーの好き好きで
遊びやすくなっているので、敷居が低く、新たなプレイヤー層を開拓できそうな印象があります。

後はそれでもまだ尚眩しく光るぱじゃま独特のあのキラキラした雰囲気を
プレイヤーが受け入れられるかどうか、かな。
ともかく、ぱじゃま入門タイトルとするのには一番丁度良いであろう一本になっていると思います。

ただね、流石に値段の高さは具体的な壁としてネックだね・・・。
値段の高さと、長大な延期がこのタイトルの売れ行きを壮大に阻害したような気がします。勿体無い!
決して悪いゲームではありませんので興味がある人はもうちょっと目を向けてあげて下さい。


以下長文感想。



プレイボリュームは結構大目。一週目に15時間超、その後ルート回収に12時間くらいでしょうか。
ただ、この長さはかなりプレイヤーによって変動します。特にバトルにかける時間によって大変動。
大体未読部分のバトルを全てこなしてこんくらい、と思っていただければと思います。
バトル要素のあるゲームによくある通り、共通ルートが長めです。ただ、同じくバトル系ゲームによくある通り
最後まで一本道で寄り道程度の個別ルート、というわけでもなく、ルート確定したあたりからは
物語の根っこの解決に向かう方向性こそ変わらないものの、そのための過程も結末も
しっかり差別化されてますので、そこらへんの懸念は無用です。
ゲーム自体は話数で区切られ、1話ずつ前半ドタバタらぶらぶ、後半バトル!という判りやすい展開で
綴られていくので、プレイの区切りはつけやすい感じ。時間かけてちまちまやってもそんなにだれません。

ルート数は5本。ただし、1人だけ分岐部分が違うので注意。また、約1名ちょっと意外なヒロインが
攻略できる反面、攻略できてもおかしくないんじゃ?という子が攻略できません。個人的には文句ないのですが
「攻略できる意外な子」の方が恐らく属性がニッチなので、需要の問題で賛否両論の否に振れてしまうかも。
とりあえずパッケージ前面に出てる子たちは妥当にクリアできますのでご安心下さい。(笑)

システム。バトルありのゲームなだけはあり、ちゃんと作りこまれています。
ADV系に関しては基本項目は完備。メッセージクリック時のボイスを「フェードで消す」が選択できるのは
珍しいかも。音周りは個別がON/OFFのみの調整ができません。最近ここ簡略化するゲーム増えてきたなぁ。
ある程度は仕方ないとは言え、ゲームプログラム自体はちょっと重め。イマドキのパソコンなら大体動くとは
思いますが、あんまりにも年代が違うと厳しいところはあるかもしれません。また、エフェクト処理を
演出重視にしていると結構スキップ速度が落ちます。共通が長い分、選択肢・ルート回収で
そこそこスキップを使う頻度が高いので、これはできればスキップ時はエフェクトOFFとかの内部設定を
して欲しかったかなぁと思います。
また、バトルもスキップすることが可能です。しかも未読既読関係無しに。割と英断ではないかと思います。
とは言えスキップしてしまうと物語のバトルパートはかなり内容が薄くなりますので(笑)、そこはそうと
割り切るか、頻繁に使用するのは避けるか、自分で決めてプレイしましょう。
これも出来ればスキップの選択肢として「既読の戦闘のみスキップ」が欲しかったですかね。

システム周りのビジュアルはいつものぱじゃまクオリティ。全体的に別ラインのクルくると結構似た感じですね。
やったらめったらキラキラピカピカしていて、見ていて楽しくなれるものの、人によっては煩いと感じるでしょうし、
文字などでも蛍光色を使う傾向にあるので可読性は若干マイナス補正がかかります。
とはいえ細やかなアニメーションやマウスオーバーなども違和感なくスムーズで、秋コンのような驚きは
ないまでも、洗練されていて、進んでいるゲームデザイン、という感触もクルくる同様。

バトルそのものについては非常にシンプル。基本はじゃんけんのような三すくみの重ね合わせから
派生された行動選択型バトルですが、話が進んで要素が増えるごとに運や勘・計算が必要になってくる
意外と奥深いバトルです。かなりプリンセスうぃっちぃずに近いイメージがありますね。
ただプリっちほどの難易度やのめりこみ感はない、かな?あちらは非常にバランスが良く、相手の行動を
読むのに深みがあったのに対し、こちらはキャラによって性能の偏りが大きかったり、行動を読むのだけは
簡単なのに自分のHPが少ないのもあって勘で判断しなきゃいけない場所が偶然外れて
運だけで負けてしまうことがあったり、あれと比べるとちょっと見劣りするか。
それでも、ゲーム全体の雰囲気を損なうような
ハズレバトルシステム、というものでは全くありません。

演出関係はかなり力入っています。プレイした直後の私でさえ列挙しきれないほど効果は多様。
魔法のエフェクトは勿論、立ち絵等パーツの動かし方、ワイプ、全体にかける画面効果などなど、色々な点で
工夫や作りこみが見られます。過去演出のセピア+フィルムノイズのそれっぽさは特に随一。
しかもそれでいてこちらはあまりうるさいと感じない程度のものが多いです。
ダゼがムツにおしゃぶりされる時などを筆頭に、立ち絵芸による間の表現もうまいですね。
素直に褒められるポイントでしょう。

サウンド。曲目はサウンドモード表示数で54曲と莫大。ボーカル曲もいっぱいあります・・・が
微妙にPRISM ARK等からの流用がいくつかあるので全てが本作オリジナルというわけではありません。
ぱじゃまソフトのゲームをやったことがある人なら多分わかるであろう、ボーカルにしろBGMにしろ
ハジケ系は全力ではじけるし、しっとり系は柔らかに、非常にこのメーカーらしい方向性の曲目ばかりです。
また、これだけ曲数があると偏りやこんな曲あったっけ?が頻出しやすそうに思いますが、その辺りの匙加減は
流石老舗メーカーというか、サウンドモードで聞いてみると結構どれもこれもちゃんと耳に残っています。
選曲センスやIN/OUTにも違和感のあるところはありませんでした。

絵。冒頭でも述べた通り、ぱじゃまソフト看板原画・大野哲也氏に加え、新たにたにはらなつき氏を起用での
二大原画体制です。どちらも実績・実力ともにあるのですが・・・流石に10年ぱじゃまソフトでやってきた
大野氏のメーカーとの相性の良さや、そもそもの絵風の違いもあって、どうしても二人でいる良さよりも、
二人いることによっての違和と乖離のイメージの方が勝ってしまうか。並べてみてしまうと
元々繊細な絵を描く大野氏と、ディフォルメで可愛さを演出するたにはら氏、という面があるせいもあってか、
たにはら氏のキャラがどこか物足りなく感じてしまいます。ぱじゃま塗りに慣れきってない所もあるのかも。
とは言え単体で見ればどちらも魅力的な絵師であるのは間違いないのですが。塗りも綺麗ですし。
杏奈月氏のSD絵は文句なしに無茶苦茶可愛いです。ゲームの雰囲気とも、また二人の原画氏とも
よくあってるし、もうこれしかない、という感じですね。システムとあわさってちまちま動くのもオイシイです。

イベントCG枚数はこれまた多め。CGモードの表示数で言えば通常CG130枚超、SDCG50枚超。
まぁ、全部可愛い女の子というわけでもなく、背景面積がかなり多いCGもあるし、それ以上に
魔女っ子コスしたスネ毛のおっさんのCGもちょこちょこ混じっているので(笑)全部が全部女の子の
可愛らしいCGやエッチなCGというわけではないのですが。それでもこの贅沢感はなかなかのものでしょう。
ただ、イベントにしろSDにしろ、ごくたまーに「それは差分いるんちゃう?」という差分が足りない印象がちらほら。
これ以上を求めるのはまぁ贅沢とは思うものの、120%の満足というには惜しくもちょい欠けか。
対して立ち絵の方は1キャラにおけるバリエーションについては平均的なゲームと変わらず。
結構サブキャラが多く、また固有名詞として出てくるキャラクターは
ほぼ完全に立ち絵があるので、その分と思えば仕方ないか。
後、背景がかなり綺麗です。それはもう特筆に価するほどに。minoriのものなどとはまた違った
立体的な美しさがあります。これは結構必見です。

キャラクターとテキスト。
ある意味ぱじゃまソフトをぱじゃまソフトたらしめ、ファンに好き嫌いを一番明確にされる点ではないでしょうか。
いつも通りのぱじゃまキャラクター、いつも通りのぱじゃまテキスト。こう言うだけでぱじゃまユーザーは恐らく
大体を理解してしまえるだろうというくらい、本作もだいたいいつも通りのぱじゃまソフトです。
ヒロインズはその殆どがこれでもかという程全力であざといまでの萌えアピールを持つキャラだらけ。
擬音系を口に出す。変な口癖や笑い方、怒り方・・・などなど。そろそろある種古臭いとさえ思える
全力のピンク色オーラに対し、ユーザーの感想はこれまたいつも通り対極的に二分されるでしょう。
勿論ヒロインだけでなく、ヒロイン以外のキャラもそこそこの濃さは兼ね備えています。
特に今作はこのあたりの個性付けの要素がキツ目です。ただ、いつものぱじゃま、とりわけPRISMシリーズの
場合、地盤が最初からファンタジーで現実からかけ離れてるのが余計その要素を増長させていたことに
対し、今作の場合ほぼ現代劇で、魔法要素以外はキャラがみな普通の人間であることと、キャラそれぞれの
過去や性格、それに加えて舞台となる街の雰囲気や地盤・歴史などをいつも以上にしっかりじっくり
作りこんでいるように見えるお陰で、キャラクター達がかなり地に足がついているため、
いつもよりもむしろとっつきやすくなっています。

この安定感は勿論他にも良い影響として波及しています。いつも通りのハイテンションギャグにしろ、
メーカーの雰囲気に隠れていまいち知られてない気がする後半に入るとがっつりしっとり重くなるシリアスにしろ、
どちらも今まで以上にどこかプレイしていて安心感があります。
この点が特に冒頭で述べた「ぱじゃま入門向け」とする理由でしょうか。このメーカーの一つの
完成したバランスとして見ても良いなと思うだけに、今後も踏襲していって欲しい感じです。

シナリオ。
全体的に言えば実に王道たる王道の様相を呈した作品です。ライトノベル的というか、RPG的というか。
魔女っ子や魔法という言葉のうわつきっぷりや、ゲームのパッと見の雰囲気から見たとおりの部分は
割と話の割合としては些事たるもので、歴史や過去をなぞりつつも、仲間との絆、家族との絆なんかを
確かめていくストーリー、という表現の方がこの作品を的確に表すことができるでしょう。
上述の通り兎に角地盤の体勢が磐石なため、それらの側面では味わいとして心に残るものがあるし、
相変わらずこのメーカーのキャラクターは純粋で真っ直ぐなのもあって、結構シーンによってグッとくるところも。
ただ残念なのが、些事と言ってしまった、そのゲームイメージ見たとおりの部分の方。こういうゲームで
ある以上、どうしてもシリアス時のぶつかり合いは魔法バトルになるのに、その魔法にしろバトルにしろ
兎に角物足りない。描写をバトルパートで誤魔化している面も物足りなさに繋がってるし、それに加え
アクションありのADVでよくありがちな、ゲームパートで倒したのにADVに戻ると敵が平然としている、というのが
ままあり、というかかなりの割合で多くあり、そこらへんがシリアスに水を指しているのもあるでしょう。
それ以上に残念なのが、とにかくバトルになるとみんながみんなお馬鹿になってしまうこと。
敵はすぐ思考停止する、味方・・・というか主人公は解決策もないまま突っ走る。これまたバトル系のお話では
よくあることですが、今作では特にこれが顕著。しかもそれが繰り返されるものだから困ってしまいます。
気合と根性と偶然で押し通るのはたまで十分。もう少し場当たり的じゃない展開だと
こちらも面白くなって均衡が取れたんだろうなと思うのですが・・・。


こんなところでしょうか。
全体で見れば結構いいゲームだと思います。賛否両論ある所、好き嫌いで激しく別れるところがある所など
ハードルとして設置されている部分は多い、というより、若干ハードルが普通より高いですが、それさえ
超えてしまえば後はすんなり最後までプレイできるゲームなんじゃないかと思います。

ただやっぱりね、根本的に・・・値段が高い。高すぎるよ。
そりゃみんな多少の特典がついてるのは好きですよ。サントラとかシングルとかちょっとした本とか。でも
10周年だからって10大特典とからきすたみたいなことをしてしまうのはちょっと・・・。それで13000円超、
そうでなく特典の少ないプレミアム版の「安いほう」でも普通より高い10000円、といわれてしまうと
いくら多少の値段差程度は気にしないエロゲーマーと言えども二の足を踏みます。
また、クルくるやPRISM ARKなどの場合は高いパッケージについてくるものががっちり高そうで、特異性があり、
生産数も少なめだったからまだ納得がいくものだった半面、今作は中途半端に小物がグッズセットばりに
入っている、という体なのが更に微妙感を煽ってしまったように感じますね。

ただ擁護するならば、10大特典版はともかくとして
プレミアム版の10000円の方は確かにパッと見は高いですが、それが納得してしまえるほどには
絵、音、その他もろもろのボリュームはかなりあるのでそこらへん一つ一念発起して
興味のある方は「見てるだけ」から「買ってみる」に乗り越えてみて欲しいな、と。


というわけで本作のオススメユーザーは何度も言っての通りで、ぱじゃまソフト初心者向けということで
「ぱじゃまソフトに興味があるけどいまいち二の足を踏んでしまっている方」全てに。
あと、メーカーの恒常的なファンは既に買っていると思うので割愛するとして、加えて
昔は買ってたけど最近はあんまり、なんて少しぱじゃまから距離を置いていた人にもオススメしておきます。
なんだかんだで、エロゲーマーとしてこのメーカーに触れないのは勿体ないと思いますよ。
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