September 26, 2010

『るいは智を呼ぶファンディスク』を応援しています!

 タイトル
 るいは智を呼ぶファンディスク -明日のむこうに視える風-
 メーカー
 暁WORKS
 発売日  2011年9月23日
 原画  さえき北都  シナリオ  衆堂ジョオ/日野亘
 評価
 88点(100点満点中)

暁WORKS躍進作、「るいは智を呼ぶ」の待望に待望のファンディスクです。
「ファンディスク」というものが出始めた頃は「好きな作品の物語がまた楽しめる」と積極的に
楽しんでいたものの、どうもそれが商法と呼ばれるようになるほどに氾濫しすぎた事や、
ファンディスクを出すこと前提でサブヒロインを作りこむようなメーカーが増えてきたことなどから
イマイチFDというものが苦手になってしまっていた私でしたが、流石に心底大好きな「るい智」の
それが出る、と言われてしまうとそんな主義なんぞ簡単に曲がるもので、ホイホイ買ってしまいました。

でもこれでただ全ヒロイン+サブヒロインのらぶいちゃだけあるゲームだったら
ちょっといやーんだなぁ、なんて個人的にはちょっと不安にも思っていたりもしたのです、が。

いざ終わってみれば買って大正解。実に素晴らしい一本でした。
「るい智」という作品は無印だけでも十分綺麗に纏まっておりますが、それを一つの完結の形としつつも
作品としての新たな可能性やIFを提示し、曖昧なまま濁していた部分を明確化させたり、もう一つの
完結の形を描いてみせたりと、100%の作品を正しく120%に昇華させる素晴らしいFDでした。
近いもので言えば、TYPE-MOONの「月姫」に対する「歌月十夜」のポジションに近いでしょうか。
更にシステム面、音楽、音声、演出なども見事にグレードアップしており、これ一本に対する
満足度を高めると同時に、暁WORKSというメーカーの次回作にも期待を持たせる完成度でした。

しかし逆に言えば「イマドキのファンディスク」らしくはないので、萌えゲーでよくあるタイプの
ヒロインたちとのラブイチャだけ甘く楽しむタイプのFDとはかなり一線を画しているので
そういうタイプであることを期待していた人には少し残念かもしれません。

ただ、この作品の魅力はやはりゲームとしてのシナリオやキャラクターの魅力こそがキモだったと思うので。
そういう所に惚れ込んでるい智が好きですと言える人なら、何が何でもマストバイな一本だと
言えるのではと思います。


以下長文感想。


ファンディスクなのでいつもよりは各項目短めに書くつもり・・・つもり。

プレイ時間は大体15時間くらいでしょうか。ファンディスクと言う割にはこの辺からして既にボリューム多めです。
ゲーム全体が一つのお話になっており、一本道で、その一本道の中に前作で攻略対象とならなかった
央輝、恵、宮和のルートや前作各ヒロインのショートストーリー、番外編じみたものなどが
詰め込まれた形になっております。序文でも言った通り、歌月十夜、もしくはFate/hollow ataraxiaあたりを
やった人ならどういう作品なのかなんとなく想像しやすいのではないでしょうか。
ゲーム自体がそういう小話に区切られているのに加え、いくつかの話のまとまりで全体のストーリーがまた更に
話数構成になっているので、分けてプレイするにも比較的しやすいところはありますが、
ただちょっと全体のストーリーが難解仕立てなので、あんまり時を経てプレイすると話の理解に苦しむかも。
また、そういう構成上、表裏一体というかなんというか、好きなヒロインのアフターだけ見る、という楽しみ方で
FDをプレイする人には残念ながらこれ以上なく無理な仕様となっておりますので一応念の為。

システム面。基本は単純なADVではありますが、無印るい智と比べるとかなり色々な面で強化されています。
コンフィグの項目のみ実はキャラの個別音量調整が増えた代わりに若干設定できる項目が減っているのですが、
これははっきりいってほぼどうでもいい部分が割愛されてるだけなので無視していいでしょう。
見た目に関してはメインメニューの洗練から始まり、基本全てが見やすく、かつ今風に。
また選択音などの効果音なども追加されています。無印の使いまわしをするFDなんていくらでもあるだけに、
こういう細かいところもちゃんと見直しているのは実に好印象。
演出面も強化されています。一番目につくのが各自の才能発揮シーンのエフェクトが動的になっている点ですが
他にも背景効果、演出効果などなど、無印には見られなかった多様な工夫が見られます。
と、盛りだくさんパワーアップしてる割に、体感ではありますがシステムは軽くなっているような?
とまれ、システム関係は一切文句の付け所がない感じ。

音関係。BGM・ボーカルともに無印で使用されたものは基本的に使われており・・・というか結構こっちが主体で
新規追加BGMはそんなに多くありません。10曲程度かな?ただ、ボーカルが3曲追加されており贅沢感。
流石に無印の印象が強いだけに新規BGMの耳覚えはあまりよくないですが、とは言え前からの調和を崩す
悪い曲ではないのは確かです。新規ボーカルはどれもいい感じ。ミニサントラとか出るのかしら?
音で言えば前作から2点変更がある、智のボイス追加と伊代のボイス変更ですが、
智の方はなんかもう異常に可愛らしくなってしまいました。女の子として合いすぎている感じです。(笑)
とりあえず比較対象としての男の娘ボイスは色々ありますが、「花と乙女に祝福を」の主人公や、
「Sugar+Spice2」の親友よりは男に聞こえなくもないけど、「処女はお姉さまに恋してる2」よりは
ちょっと女の子すぎるかな、という感じ。
伊代のボイス変更については水鏡氏の声質がなかなかに「イケてなさ」「お母さんポジの野暮ったさ」を出すのに
一役買っていたのに対し、ちょーっと高く可愛らしさがアップしているのがキャラ的に違和感かな?
でも慣れない程ではないのでは。少なくとも私はそれなりに早く慣れることが出来ました。

絵。さえき北都氏の絵は無印るい智で完成された気が強いので、あまり変化は前作のコミュでも感じにくい
所でしたが、今作もそこまで変化はなく。立ち絵などで新旧入り混じってもあまり違和感はありません。
ただ、絵として魅せるHシーンなどの一枚絵ではいい感じの進化が伺えます。お尻の曲線や
足のライン、お腹の起伏なんかが特にエロっちく強化されていて魅力的。
イベントCG枚数ははCGモードのページだけで見れば80枚ほどとフルプライスに近い量を誇りますが、そのうち
いくつかはカットインや背景のないキャラだけの絵などもあるので、実際は流石にフルプライスには届かないか。
それでも十分すぎるボリュームではあるでしょう。更に、メイン級キャラには新衣装や若干の立ち絵追加に
何名かは新キャラもいるのでこれで文句を言うのは罰当たりレベルかと。

キャラクターとテキスト・・・は割愛でいいか。
キャラにしろテキストにしろ、基本前作から大きく崩れる点はありません。キャラについて言えば相変わらず
非常に個人でも魅力があり、グループで更に魅力的になる、非常においしく個性的のあるキャラ揃い。
既存キャラには特に問題はないでしょう。
まあ強いて言えば新キャラの何名かがあまり存在感を為してなかったのが残念と言えば残念、かな?
テキスト面もいつも通りのテキストです。るい智序盤の異様に胡乱で迂遠なテキストは今回ないので
ご安心ください。ただその代わり、後半はかなり話に頭を使う意見と意見のぶつかり合いと怒涛の展開に。
そこらへんはむしろるい智と言うよりかはコミュの雰囲気に近いかもしれません。

シナリオ。
宮和、央輝、恵ルートでは前作の曖昧にされていた所を補完しつつ、確かに彼女たちのルートに入れば
こういう話になったんだろうなと言えるくらい完全に彼女たちの個別ルート。本編になかったことが
プレイしてみると違和感に思えるくらいうまく出来ています。長さもそこそこにあるので、彼女たちサブヒロインの
話が読みたかった人にはまさに求めていたストーリーだと言いきれるくらいの出来ではあると思います。
特に恵ルートとそれにまつわる話は圧倒的。前作最大のキーマンだった彼女の話、恐らく前作プレイヤーなら
判ってくれるだろう「どうやって攻略すんねん」という想いに逃げずに答えたところは流石です。
更にそれらをひっくるめ広がる全体ルートに関して言えば、るい智というお話のもう一つの完成系であり、
裏の完成系でもある、といえる話でしょうか。無印があれだけ綺麗に終わったはずなのに、こちらをやってみると
ああこれで本当に全てプレイしたんだ、という気になります。
ただそれだけに、新しい終わりを提示してしまっている弊害として、今までプレイヤーが感じていた無印への
感想が大きく変わるかもしれません。感想というか印象というか。捉え方次第だとは思うのですが・・・。
とりあえず、相変わらず全てを通して言える作品のテーマみたいなものは一切変わっていませんし、
そのポリシーがるい智をるい智たらしめてると思うので、個人的には今回の話に対しても好印象なのですが。
これについては恐らくユーザーの好みや趣味によってこの影響の大きさ自体がまちまちだと思います。
全ての人が迎合でき楽しめる作品なんてないですしね。


さて総括。
見事にベタ褒めに終わったレビューでした。うん、だって実際ほとんど文句が思いつかないんだもの。
相変わらず暁WORKSはいい仕事をします。このチームの作品が出る限り、私は絶対に追い続けるでしょう。
これだけのボリュームを持ちつつ、ゲームの本体部分で言えばミドルプライスというのがまた素晴らしい。
ねんどろいど同梱版ならフルプライスにはなりますが、値上がり幅と特典のお値段が十分相応ですし
これまた文句のつけようがなく。ねんどろ智も可愛いし。
コストパフォーマンスもよい、理想のファンディスクであると、個人的には確信を持って言い切ることができます。


というわけで今作のオススメプレイヤー・・・は言うまでもないですが
「無印版るいは智を呼ぶをプレイし、その作品性が好きになった人、全てに。」
無印やったならこれをやらないのは正直ありえないと言いたくなるほど勿体無い。本当にマストバイなFDです。
むしろ無印をやってない人は無印からやるだけの価値はある作品ですよ!ぜひぜひ。
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