
| タイトル |
Sugar+Spice!2 |
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|---|---|---|---|
| メーカー |
ChuableSoft |
発売日 | 2011年7月30日 |
| 原画 | ぎん太 | シナリオ | 森崎亮人 |
| 評価 |
77点(100点満点中) | ||
※まず先に脚注。
私個人として、本メーカー直近の前作である「恋文ロマンチカ」をプレイしていない事と、本作の性質上
比較対象とするべきは「Sugar+Spice1」であると思うので、以下レビューにおいて「前作」と
表現する場合、基本的には「Sugar+Spice!1」を指している前提で記述しております。
チュアブルソフト最新作はメーカーの名前を大きく押し上げることになった
「Sugar+Spice!」の続編新作。世界観、システムや雰囲気を継承した作品となっております。
「いつでも告白できるシステム」や、キャラクターの情報や好感度がなんとなくわかる「オトメカイセキ」等
これぞまさに本来の意味での「キャラクターゲーム」という、キャラ作りと魅力に特化した出来は従来通りですが
その味付けをする話の大軸や、キャラの関係性の密度などは変えてきており、前作と同じようで違うもの、
というシリーズモノの形としては正しい作りで好印象。
ただ、言ってしまえば変化という変化はそのいわゆる雰囲気を変えてきた点だけで、どうもそれ以外は
あまり進化が見られないところは非常に惜しい。細かい点で見れば改良されている部分もあるのですが、
逆にちょっと改悪じゃないかな?という点もありどっこいどっこい。
何よりやはりシュガスパ1からの「最大の問題点」に対する努力が見られないのが残念です。
また、単純にボリュームの面でも弱体化してます。
とは言え基本的には前作同様、他のメーカーにはあまり見られない独創性と個性に満ちた遊び味や
キャラクターの魅力を堪能させる楽しませ方は持っていますし、ギャルゲーとしての基本的な格子には
大きく目立った不満もなく。学園恋愛モノが好きな人なら勿論、そういうのがちょっと飽きた人までも楽しめる
広い幅にオススメできる作品ではあると思います。
また、1が楽しめた方ならこちらも十分そこそこには楽しめるはず。
というわけで以下長文感想。
プレイ時間は人によって大変動します。前作をやった人ならなんとなく告白タイミングが感覚で掴めるので
全ヒロインクリアだけなら18時間もあれば十分かと思いますが、そうでない人は慣れるまで延びます。
また、フルコンプリートするとなると前作以上に難易度が高いです。
クリア後の好感度引継ぎなどを駆使して意外なフラグをたてる必要があったりと、とにかく大変。
それでも25~30時間あればコンプリートは可能だと思いますが・・・
基本的に誰にどういうイベントがあるか、は大枠で共通しているので、一人新しいイベント郡を見つけたら
似たようなものが他ヒロインにもある、と考えていくと攻略しやすい形になっています。
システム。まず基本項目については不満はそんなになし。各種設定は過不足なく行えます。
前作同様のエピソードスキップがあるので既読をスキップする作業でだれることはあまりないですが
しかしコンプするためには他のゲームの何倍も周回する必要があるのでこれがあってもだれる、かも(笑)
欲を言えばキーボード設定が折角あるのに中途半端。使えるボタンはいっぱいあるのに、殆どは
割り当てが決まっていて、3種類のボタンのみ操作変更できる、という仕様。いっそ全部設定させて下さい。
システムグラフィックについては格段に進化してます。前作も雰囲気に合わせた良いものでしたが、
統一性はそのままに前作以上に目を楽しませる優れたデザイン性のものとなっており非常にGOOD。
しかし逆にシステム効果音についてはパワーダウン。前作と共通の効果音で使いまわしで新鮮さがなく、
どころか「一つ戻る」の効果音が削除されてたりとか。なんでなんだぜ・・・
で、本作のキモ、その1。エピソード選択システムといつでも告白できる等の独自システムについて。
基本的には大きく変わっているところはない、のかな?せいぜい告白の失敗可能回数が減っているくらいで
やることは前作と変わりません。わかりやすく言えばゲームが話、というか章で分かれており、その章内で
規定の移動ポイントを消費してD.C.のような移動先エピソード選択を繰り返し好感度を上げ、仲良くなったと
思ったら自分で能動的に告白する、というもの。Aという前提の話を見ないとBが出現しない、や
告白して恋人同士になった時、その告白回数が何度目だったか、等々
多様なフラグ条件によって話が出現したりしなかったりするので、非常にゲーム性があり、やりこみ的な
楽しみ方もできる、普通のゲームとは一風変わった面白さは健在。また、共通ルートが主軸すぎて
いまいち恋人同士としての独立したエピソードが少なかった前作と比べると、若干個別のエピソード数に
比率がよってるかな?と思います。キャラクターの掘り下げとしてはこちらの方がよいでしょう。
更に今作では好感度引継ぎシステムが追加されており、END時の好感度を引き継ぐことによって
通常のプレイでは絶対に成功できないくらい手前の話数で告白に成功することができたりと、
よりいっそうゲーム性「は」上がっております。
・・・しかしさて、その代わり本システムの最大の問題点である「話の整合性」についてはより一層台無しに。
このシステムの特性上、告白後に一般エピソードをプレイすると、恋人同士のはずなのに
恋人っぽくない会話や態度をするような、普通のエピソードが変なエピソードに変質してしまいます。
前作からの継続した問題点であり、正直何がしかの改善をしてほしいと思っていたのですが、むしろ
好感度引継ぎの弊害もあり悪化しております。銀河など、付き合ってるのにツンケンしてたりとか。
確かにこれを「解決」をしようとすると莫大な手間とボイスとフラグ管理がかかるだろうとは思うので
そこまでしろとは言いませんが、やはり何がしか違和感を緩和する手入れはして欲しかったように思います。
さて、いつもの本筋に戻りまして音楽。
サウンドモードでの表示曲目数は32曲。うちボーカル曲7曲と、さすが単品で成立するG-WAVEを別に
販売するだけはあり、非常に豪華。またBGMについても、システムグラフィックと同様、前作の雰囲気を
保ったまま、より一層洗練された出来のものばかりで文句は特になし。ついでに、サウンドモードでは
表示・再生されませんが、前作キャラで登場するハモやミャンマーなどのテーマも劇中にてかかります。
前作プレイヤーには当然でありつつも嬉しいこだわり要素です。
絵。チュアブルソフト看板絵師、ぎん太氏いつもどおりのイラストです。
Pure×Cureやあまなつからは大幅に変わったなぁ、と思うものの、正直シュガスパあたりで大分完成したのか
ロマンチカにこれと特別大きな変化はあまり感じませんね。細やかな所で巧くなって洗練されつつある感じ。
絵的にはなんというか、柔らかくもなく、堅くもなく、美しくもなく、萌えかと言われると癖があり、
しかし可愛いのは確かである・・・なんていう不思議な印象を個人的に持っています。非常に比喩しがたい
絵風じゃないかなぁと。あと、一般CGや立ち絵はエロいのに、Hシーンになるといまいちエロくないという
微妙に矛盾した印象も感じます。全裸になると割と残念乳首ですし。
CG数は80枚程度で最近のフルプライスからすると平均ちょい下くらいでしょうか。差分も普通程度。
その代わり立ち絵は少し大目かな?衣装として制服、私服、水着、浴衣あたりはほぼ固定で全キャラに、
+アルファで何がしか1~2種ある感じ。表情差分もそこそこあります。
日常エピソードが膨大なので、立ち絵のバリエが多い方がバランスよく楽しめるのでこの配分はアリでしょう。
キャラクター。この作品第二のキモ。
「告白するという意思をプレイヤーに持たせる」ことを一つの軸にしてるだけあり、相変わらず前作に引き続き
魅力溢れ、かつ現実離れしすぎない、地に足をつけ、また等身大なりの性格バランスを取ったキャラ作りは
そのままで、存在感に密度があります。女の子の魅力は欠点にある、とでもいわんばかりに、
変な媚びや天然さ、極度の信頼などを使わず、計算高さやだらしなさ、弱さ、コロコロと変わる
心情の移り変わりを全面に出すことで、逆にこの時期の多感な女の子っぽさを演出するあたりは
むしろ前作以上かもしれません。ただしかしこれについては、これら欠点演出がそのまま直接
プレイヤーへマイナスイメージを与える可能性がありそうだな、という部分も散見されたので一長一短か。
また、前作ではヒロインズが一括して仲良しコミュニティだったのに比べ、今作では微妙に
スタンドアローンの銀河、水泳部コミュ、天本家コミュと、ヒロイン同士の仲が悪いわけではないものの
派閥があり、更にその派閥の中でもヒロインズは全員確たる他と交じり合わない独立性を保っているので
個人の深さみたいなものは増したものの、前作のガールズポップ的雰囲気は大分薄れてしまっており
ここらへんもまた好みで分かれそうな気がします。
サブキャラは前作同様魅力的。前作キャラは勿論、新規の面々も非常によくキャラが立っています。
むしろ姉の玲音や前作歌の妹祭なんかは攻略できてもよかったんじゃ・・・というくらい。
前作に比べヒロイン一人減ってるので余計にそう思ってしまうのかもしれません。
ちょこちょこ出てくる前作の二名・ハモとミャンマーについては、かなりおいしいトコを随所で持っていくわ
前作の「ああ、そんなこともあったな」的エピソードを断片的に披露してくるわで、前作未プレイの人には
1への興味を、既プレイの人にはやりなおし欲をこれでもかと刺激してくる強キャラです。要注意(笑)
主人公については魅力があったりなかったり。万能だけど没個性というスペックは日常では非常に便利だし
序盤では積極性もありエロゲ主人公らしいズレた誠実さや実直さ、お節介さも持つ悪くない主人公ですが
個別になると途端周りのキャラに食われて存在感が薄いわルートによってはヘタレるわで株を落としたり。
身も蓋もない表現をすればかなり化物語の阿良々木暦に近いキャラだと思っていただけると。
続いてシナリオとテキスト。
テキストについてはチュアブルソフトにしては珍しく単独ライターで森崎亮人氏が担当。
やってる最中はそんなに思いませんでしたが、確かに改めて振り返ってみると同様に氏が単独で担当していた
フェイクアズール・アーコロジーと通じるものがある文体でした。テンポが良いというよりは、
ゆるりと波が上下するような感じで盛り上がりと平時のバランスを取るタイプです。
エピソード一つ一つで取っても、繋げてみても(例のシステム的問題以外は)読みやすく、安定しています。
複数ライターでバタバタしていた前作に比べるとこの安定感だけなら上かもしれません。
対してシナリオ。
長大な共通パートというかショートストーリーパートについては、各キャラについて浅くもなく深くもなく
個別に入る前の下準備的な掘り下げをちまちまふりまきつつも、基本的には明るく楽しく
学園生活と甘酸っぱい女の子たちとのやりとり、女の子たちの魅力を堪能することを第一に作られた感じの
ドタバタ劇やちょっとHなラブコメ展開をバイキング形式のように好きにつまめる感じで非常に楽しいです。
前作は主人公を囲むようにヒロインズで手を繋いでいるようなヒロインたちの仲の良さ、繋がりがあったのに対し
今作は主人公を中心にしてヒロインたちに線が繋がっているような関係性の繋がり方になっているので
みんなで楽しく、という面は減った代わりに、主人公と二人で楽しく、という面は告白非告白問わず増えており
好きなヒロインにより傾倒しやすくなっています。ここらへんも、前作と変えてきたのはユーザーにとっては
好き好きで感想分かれそうですが、主観を抜きにすれば変化をつけたのは英断だと思います。
個別クライマックスについて。個人的な感想では、キャラクターによって話の質の差はあるものの、
どのキャラにしろイマイチ納得のいく面白いクライマックスとは言いにくいか。
いくつかの前述の通り、前作と比べるとキャラの存在密度が上がっており、話に入り込みやすい地盤は
整っているものの、個別導入から盛り上がり、そしてエンドに至るまでが、キャラによってテキスト量は同じな
ものの、劇中経過時間としては長いキャラと短いキャラでまちまちで、短いキャラについては主人公も
ヘタレるヒマがないのですが、長ければ長いほど主人公どころかヒロインまで間延びしてヘタれてしまうので
結構なぐだぐだ感があって共通の楽しさがどんどん薄まっていってしまいます。
また、各キャラの問題についてもいまいち共感しにくい感じ。どのキャラも割とギャルゲー界隈では
見たことあるような問題にぶち当たるのですが、どうも悩む箇所がズレてたり、何故悩むのかの理由付けが
描写不足だったり。結果、いまいち締まりきらない読後感に。
コース料理の中盤までおいしかったのに、デザートが100円アイスだったような気分に近いでしょうか。
中盤あたりからの伏線敷きにもうちょっとやりようがあったのでは、と思います。
こんなところで。前作から比べ、ここは変化、ここは不変、のさじ加減を基本的には巧くやれてるものの
変化は大体主観的なものから客観的なものまで一長一短、プラマイにしてゼロ、平均として馴らせば
印象としては前作とほぼ同一な作品だった、と言ったところでしょうか。
もうちょっと根幹的な進歩がやはり見られれば、という気はやはりします。
しかし点数としてはそれだけだったらもうちょっとあげてもよかったのですが、後はやはり、そもそもの問題として
体験版頃からずっと懸念していた「ヒロイン前作より一人減ってるけどそこのフォローは?」という点が
やっぱフォローできてないんですよね。今作のヒロインたちも非常にいい魅力を持ってはいましたが、やはり
前作と比べるとどうしても見劣りするのは、単純に一人足りないのが要素として一番大きいような気がします。
純粋文字量で比較できないのではっきりとはわかりませんが、エピソード数で言えば前作より100近く
単純に減っていますし・・・。
折角の続編なのだからむしろボリュームアップするくらいの気概で望んで欲しかったなぁ、と思いました。
では、いつもの通り本作オススメユーザー。
色々苦言は呈しましたが、しかしギャルゲーとしては平均レベルは十分超えてますし、ゲーム性の高さも考えると
オススメできる対象の層はやっぱり非常に広いんですよね。というわけで
「ゲーム性が普通より高いギャルゲーをめんどくさいと思わない萌えゲーマー」なら大体の人に。
また、折角なのでやはり「シュガスパ1のファン」全員にも。これ単品だと前作より物足りないかもしれませんが、
今後3が出た時の素養と、1を思い出しプレイしたくなる欲求活性剤に一つ、どうでしょう。


















