
| タイトル |
アッチむいて恋 |
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|---|---|---|---|
| メーカー |
ASa Project |
発売日 | 2011年4月30日 |
| 原画 | 夕凪セシナ/ぱん太 | シナリオ | 天都/藤井リルケ |
| 評価 |
81点(100点満点中) | ||
ASa Project起死回生、乾坤一擲の一年半ぶり新作は主人公女装モノ!
個人的に主人公女装モノは殆ど外れないと思っているのですが、今作も見事にその期待に応えてくれました。
全体的なボリュームが若干足りないか、という難はあるものの、それ以外では
大きな苦言を呈するほどのマイナスはあまりなく、全体的に実に飽きさせない作りで基本的にかなり満足。
ライターさんと声優さんの力が特に大きいですが、要素要素の絡み合いもバランスがよく
個性もしっかりしていて、中堅クラスの良作と評していいであろう地に足のついた作品でした。
強いギャグ臭に反して実は全体を俯瞰すると良く考えて作られているのも素晴らしいです。
笑いのポイントさえ外れなければ、ラブコメや萌えを好物とするエロゲーマーなら
9割以上楽しめるであろう、かなり広ーくオススメできるおいしい一本です。
プレイ時間は大体共通4~5時間、個別ルート2時間×5で15時間もあればコンプリートできるでしょうか。
ボリュームとしてはフルプライスにしてはかなり抑え目。密度が濃いので私個人としてはさほど気にしませんが
プレイバリュー、コストパフォーマンスとしてみるとあまり良くはないでしょう。
本作で問題として大きくあげるならこの一点のみかもしれません。
各個別があと1時間長く、ついでにハーレムENDやおまけなんかがあったら
90点台をつけてた可能性があります。「この作品なら」案外ハーレムENDもアリじゃないかと思うんだけどな。
さて、いつもの要素別。
まずはシステム・演出から。TGL系統の作品ですが、TGLのシステムではありません。吉里吉里ですね。
項目関係は過不足なく。CTRL押しのスキップが押下から若干のウェイト余地を置いてるのは
誤爆押しでスキップしてしまうのを防止してくれるので細かいながらいいですね。
システムグラフィックは作品のイメージから反してはいないのですが、そもそもロゴやイメージカラーに
主張の強い青を主体とした光沢のあるものを採用しているので、ちょっと目立ちすぎで読みにくい所も。
演出面は一発ネタのようなものがちょこちょこある反面、常態には特になし。コロコロと表情を変え
姦しくキャラがしゃべくりまくるゲームなのでエモーション等あってもよかったかな、というのと、
個別に入ると何度かある「過去回想」が実際の話の進行との差異がなく判りにくかったので
セピア等の色彩統一効果なんかはあってもいいんじゃないかなと思いました。
音楽。OP、挿入、EDでボーカル三曲!っていうのは磐石でいい反面、BGMが15曲しかなく
曲数だけで見るとこれもボリューム不足か。ただ怪我の功名と言うか、作品自体が長いものではないので
プレイ中はそんなに気になりません。曲自体はどれも耳覚えがよく、シーンごとの選曲もいいため文句無し。
シリアス時の「エンドレス・エンドレス」あたりは往年のkeyサウンド好きには結構クるんじゃないかと。
ボーカル曲もどれもこういう明るそうなエロゲに似合いつつ、個性もある名曲ぞろい。
主題歌には知名度のあるNANAを配置しつつ、挿入歌には同人やニコニコで名のある花たんを、
EDには実力あるのにあまり目立ったことがない(失礼)anporinを採用するという
なかなかアグレッシブな采配をしているところも個人的に好印象。
絵。HimeのちHoneyからむちゃくちゃ進化した気が・・・。
夕凪セシナ、ぱん太両氏どちらも体の描き方にちょーっと崩れはありますが許容範囲でしょう。
イベント絵・立ち絵ともに非常にかわいらしく、また思いのほかにエロいです。
特に立ち絵はポーズで3パターンに、衣装が制服、私服×2、浴衣、パジャマ・・・と割とふんだん。
表情もコロコロ変わりますし、画面見てるだけで楽しくなれる要素はばっちり。
また、塗りのレベルが原画以上にえらい上がってます。前作と比べると別物レベル。素晴らしい。
ただ、SDキャラを描いた人とSDイベント絵を描いた人が違うのはなんでなんじゃろか・・・。
凄く好きなので批判したくはないのですが、SDイベント絵が「可愛らし過ぎて」ちょっと作品から
浮いてしまっているのが本当に勿体無くて残念。
SDキャラ絵の人が描けば違和感にはならなかったはずなのですが。
で、この作品のキモ、キャラクターとシナリオ・テキスト。
キャラクターはどいつもこいつも個性的どころかかなりぶっ飛んでいます。
メインヒロイン勢で言えばキャラの濃さなら美奈子と優由がツートップか。
特に優由ははっきり言って序盤だけなら女捨ててます。
エロゲヒロインテンプレそのままのヒロインは妹のルナ位かな?
しかしかといって可愛くないかと言われるとそうでもなく。かなり演出過剰ではありますが、
女装モノのイニシアチブというか素のままの飾らない女の子が描かれているのは魅力的。
最近のニーズにもマッチしていますし。
サブキャラ勢もメインキャラに見劣りすることなく自己主張激しいです。個別でしか殆ど絡まない
未虎とメテオはちょっと影薄いですが残りは存在感が濃厚。
むしろ少々濃すぎて、慎吾が本気でキモいのと、理事長のむつみが主人公に同情したくなるくらい
ウザいのはちょっと賛否両論あるかもしれませんが(笑)、十分ギャグの範囲でしょう。
作中でそのまんま言われてますが声優さんの力もかなり凄い。キャラにもベストマッチしてますし。
松田理沙△ー!
テキストに関しては笑いだけなら私の中で今年暫定TOPです。もうホント、笑いに笑いました。
むちゃくちゃ語りたいけどネタバレになっちゃうから自重しますが、判りやすいとこなら
王雀孫氏、衣笠彰梧氏とか、後は藤崎竜太氏あたりのテキストが好きなら
多分かなりヒットするんじゃないでしょうか。
本作では特に、セリフ回しの絶妙さとテンポの良さも素晴らしいですが、
何よりエロゲであることに対するメタネタに関しては脱帽しました。もう、発想が素晴らしいです。
まさか(微ネタバレ反転)選択肢が難しくて選べないんじゃなく
笑ってクリックできなくなる事があるなんて思わなかった・・・。
シナリオ自体でうまいなと思ったのは「女装モノ」が絶対避けて通れない「女装バレ」に
マンネリを一切感じさせないことと、そのピーキーな特性を踏まえた上で全ルートの味わいを
まるで別物に仕上げている点でしょうか。
表現しにくいですが、「女装主人公による学園ラブコメ」というフレーズから
ユーザーが抽出・想定する可能性のある話を上から五種類持ってきて、それをヒロインの性格・魅力に合わせ
上手く割り振って具現化したような感じを受けました。
故に登場人物たちの葛藤も、帰結も、展開も多様で、実に飽きが来ません。
ただ逆に、女装モノといったらこうだろう!という信念がある人からすると、どのルートでも
○○な話が一箇所はあるだろう、という期待から外れてしまう場合があるので
物足りなく感じる可能性はあるかもしれません。一長一短ですね。
展開事態も要所要所をしっかり押さえてあり、破天荒な展開に反して感情移入は割と容易。
また、シリアス面でもセリフ回しが光ります。演出・声優の上手さと合わさって一言の破壊力が結構重い。
バカゲーだと思ってると最後に結構グっとこさせられて悔しい思いをするかも?(笑)
問題は冒頭でも触れましたがボリューム不足の問題でちょっと後半駆け足で失速感があること。
特にかぐやルートはちょっと展開もなあなあではじけきれておらず、また結びも唐突気味。
やはり全キャラともあと一時間くらい増やして余裕と間を持たせて欲しかったか。
また、その詰まっている後半にHシーンが入っており、シーン回数も各3回と固定で、
大体の問題を解決したらH、というパターンばかり。そのためルートによっては3連発Hシーンなんてことも。
無理にルートにつめこまず、EXTRAにおまけHシーンとして入れればよかったのでは、という気も。
とまあ、何よりボリューム不足という一点が足をひっぱっておりますが、この問題は
このブランドの作品である以上割と予想できた事ではありましたし、それ以外の点が
殆ど文句ないレベルアップを果たしていた以上、今後の伸びしろがこの一点のみに集約されるので、
完璧じゃないけど次への期待が持てる準名作として、なかなかいい作品だったと思います。
後はホント、次でボリュームさえ改善されれば、中堅上位クラスのメーカーも夢じゃないと思います。
最近TGL系列は本家以外あまり元気がないのでぜひとも頑張って欲しいところ。
そんな感じで、今作をオススメするのは
「笑えるラブコメが好き!」な人とりあえず全部!当てはまる人は是非とも体験版をやってみて下さい。
絵、音楽、お話、文章と、エロゲ四本柱は全て十分に及第点。更に個性もありますし、
何よりバカゲーとしてのスペックはTOPレベル。大体のエロゲーマーに是非一度は
興味を持ってみて欲しい作品でした。
ボリュームが足りないのも逆に言えば社会人エロゲーマーには向いてるかも?
実際、結構区切りやすいですしね。


















